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エピローグ 〜推測〜

 魔法祭が終わり、王都フェルメイトは今日一番の盛り上がりを見せていた。主に一つ星の生徒や、彼らの両親、その他の国民たちだ。

 今までの鬱憤を吐き出さんと、食べ物を食い漁り、肩を組みながら酒を酌み交わし、音楽に合わせて踊りを踊っていた。まさに祭りだ。


 二つ星は、苦虫を噛み潰したような表情を浮かべながら、豪邸でその光景を見つめていることだろうな。


「いやー!最高だねぇっ!」


「すみませーんっ!肉追加でっ!!」


 次々と出てくる豪華な食事に目を光らせながら、カジムとゼノンはむしゃむしゃと箸を進めていた。


「あんたたち……限度ってもんがあるでしょう……」


 近くに座っているシルミーが、苦言を呈する。


「だってよっ!食べ放題だぜっ!今夜、二つ星でも限られた位の人間しか入ることが許されない、この天空レストランにっ!」


 彼ら一つ星が今いる場所は、上空一〇〇メートル。三つ星と称される天空レストランの最上階だ。

 魔法祭優勝特典として今夜一日限り、貸切でしかも無料でこの天空レストランの料理に舌鼓を打つことができるのだ。彼らにとっては、夢のような時間だろう。


「こんなところ……初めてで緊張しちゃう……」


 メリアが恐縮したように言う。


「ねっ!もう何段階もステージが違うって感じ。景色も凄いいいし」


 ミラが手すりに肘をついて、夜景を眺めた。


 彼らがこの場を楽しそうに過ごしている姿を、俺はグラスを片手に遠目で眺めていた。


「それ、お酒じゃないわよね?」


 セリナが尋ねる。俺が持っているグラスの中には、黄金色の液体が入っていた。まぁ、見る人が見ればお酒に見えるかもしれないな。


「普通のジュースだ。まだ酒を飲める年齢じゃないだろ俺たち」


 昔は酒を飲むのに、年齢制限なんてなかったから、こういった場ではよく飲んでいたがな。少し物足りないような気もするが、今はこの世界に合わせるとしよう。

 俺はスッとグラスに入った液体を流し込んだ。


「セリナも飲むか?」


「えぇ。いただくわ」


 俺は店員に頼み、同じジュースをもらった。

 それをセリナに渡す。


「さっぱりしてて飲みやすいわね」


 セリナの口に合ったようだ。


「セリナ。身体の方は大丈夫か?」


「おかげさまで。今はすっかり元気よ」


 セリナは微笑んだ。彼らの様子を見るに、あの白フードの放った魔力の影響はもうないように見える。そんなことで、この天空レストランの料理を食べられなくなるというのも嫌だろうしな。


 一番ダメージを受けていたと思っていたシヴァも、並べられている料理を片っ端から食べていた。あいつの胃袋は、一体どうなっているのだろうか。


「おーいっ!二人とも、そんな隅っこにいないでこっちに来なよっ!今夜のメインディッシュがきたんだっ!みんなで食べようっ!」


 スピカがそう言って、俺たちを手招きする。


「おう」


「うん」


 俺とセリナは頷いて、みんなの元へと向かった。


 豪華な料理を堪能した俺たちは、天空レストランの外に出ていた。明日から二日間は休みだ。昨日今日の魔法祭の疲れをとらせるためだろう。


「じゃあ、また学院で」


「おやすみー」


 それぞれ帰路につく。


「じゃあ、お疲れ様」


「おう。気をつけてな」


 セリナもそう言って、アパートへと向けて帰っていった。この場には、俺とシヴァの二人だけが残った。


「疲れたねー」


 シヴァは大きく欠伸をした。


「シヴァ。悪いが、少し付き合ってくれ」


「アムルくんから誘ってくるなんて珍しいね。何か用でもあるの?」


「少し周辺を散歩したくてな」


「うん。いいよ」


 俺の誘いに、シヴァは快く快諾してくれた。   

 あれだけ騒がしかった王都フェルメイトの灯りはほとんど消えて、寝静まっていた。


 俺たちはゆっくりとした足取りで歩いていく。     やがて、魔法学院に辿り着いた。


「シヴァ」


「うん?」


 シヴァは疑問の表情を浮かべた。


「お前、何者だ?」


 クスッと彼は笑みを浮かべる。


「何者って、俺はシヴァだよ。魔法学院の一つ母子の一年生で、君たちと友達の」


「ここには俺とお前しかいない。腹を割って話そうぜ。あの白フードが来たとき、いつも穏やかなで滅多に怒らないお前が、あのときはこれでもかというくらい怒りの感情を露わにしていた」


 シヴァの手に握られていたノヴェンレビィアが、それを示していたからな。


「つまり?」


「お前は、あの白フードの男を知っているのか?」


「仮に答えたとして、それを知ってどうするの?」


「奴は俺を知っていた。だが、俺は奴を知らない。いや、覚えていないと言った方が適切だろう。俺と白フードは、昔どこかであっていたようなんだ。だが、それはこの十六年の間ではない」


 ここからは俺の推測だ。

 だが、俺の推測が正しければ、


「三〇〇年前、人間と魔族が争いを繰り広げていた中、俺が生きていた十六年の間だ」


 目の前に立つ男。シヴァ・コルエマは、三〇〇年前のあの争いを知っている転生者だ。

これにて二章は終わりです。

三章はとうとう魔王が出てきます。


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