子供っぽい理由
毎度、投稿時間バラバラですみません!
仕事が忙しく、執筆する暇が……。
その後も、リエルの魔法祭についての説明が続いた。要約するとこうだ。
一チームは最低九人以上。その中から班長を選ぶ。その班長となったものは、宝玉を守護しなければならない。
その魔法祭の勝敗は至ってシンプル。その宝玉を破壊された方が負けというルールだ。
試合を始める前に自チームの陣地決めというのがあり、その決められた陣地の中であれば、宝玉はどこに設置してもいいそうだ。ただし、一度設置した宝玉を移動させることはできず、隠蔽魔法を宝玉に施したり、異空間魔法で宝玉を格納した時点で、その組は失格となる。
「ルールの説明は以上です。分からないところがあったら私に聞いてください。皆さん、少しでも良い成績が残せるように頑張ってくださいね。それではーー」
魔法祭についての説明が終わった後、リエルは授業を始めた。
* * * * * * * * * * * * * * * * * *
「魔法祭、楽しみだね」
授業が終わったその放課後。大きな欠伸をして身体を伸ばした後、シヴァが言った。
「そうだな」
「メンバーはどうするの?」
セリナもその話に参加する。
「俺とセリナにシヴァ。それとスピカたちでいいだろう」
ちょうど十◯人で、一度対抗戦で共に戦っているから、互いがどれだけの実力かは把握しているはずだ。変にメンバーを変える必要がまるでない。
「二つ星の奴らはどうなったんだろうな」
「ゼイスくんとノアさんが班長で二組。それともう一組らしいわよ」
「あの二人って、いつも仲悪いよね」
苦笑いを浮かべながら、シヴァは言う。セリナも同意するように頷いた。二人は視線を合わせる度に、バチバチと火花を散らしていたからな。
「こっちはアムルでいいんじゃないかしら。班長は宝玉を守らなきゃだし、そもそも自分自身がやられてもいけないんだから。自分も守れて、尚且つ宝玉も守れるほど余裕がある人じゃないと務まらないでしょ」
さも当然だと言いたげに、セリナは言い切った。
「一応、護衛役として二人は置いておいた方がいいかもね。上級生が相手となると、遠距離からでも正確に魔法を扱える人もいるだろうから」
さっきの眠気は何処へやら。生き生きとした様子でシヴァも自身の考えを述べる。
「セリナ。今回の班長はお前に任せる」
セリナは、俺が何を言っているのか分からなかったのだろう。フリーズしていた。
「い、嫌よ。私が班長なんて務まるわけないわ。それに宝玉を守れる自信なんてないわよ」
「何か考えがあるのかい?」
シヴァが尋ねる。
「魔法祭のルールとして、班長は宝玉を守護しなければならない。そして宝玉は自チーム陣地の中なら設置してもいいという二つのルール。つまり、班長になったものは宝玉を守るために、無条件で自チームの陣地にいないといけないわけになる」
「まあ、そういうことになるわね」
「シヴァは武具を主とした近接戦闘タイプ。敵陣に切り込むには、適任と言えるだろう」
「お褒めに預かり、光栄だね」
シヴァは一点の曇りもない嬉しそうな笑顔を浮かべる。
「対してセリナは、高火力な氷魔法を得意とする完全な魔導師タイプだ。変に前に出ず、自軍で攻撃を仕掛けた方がいい。それに、セリナの判断能力、視野の広さ、それを一番活かせるとすれば、班長以外のどこでもないだろう」
以前、対抗戦で共に戦ったからこそ感じたことだ。そして何よりセリナは強いカリスマ性を持っている。彼女の性格から得られるものでもあるが、それは上に立つものとして、なくてはならない重要な要素なのだ。
「でもアムルが班長で、私が護衛役でもいいじゃない」
セリナは頑なに首を縦に振らない。よっぽど班長をやりたくないようだ。
「いや、今回はどうしてもセリナ。お前でないと駄目なんだ」
「アムルくんのことだ。そこまで言うからには何か理由があるんだろ?」
「まぁな」
そう、今回に限ってはどうしてもセリナに任せなければいけない理由が二つある。
「さっきも言ったが、セリナは後方からの攻撃手段が豊富だ。俺も≪白銀彗星≫などはあるが、俺もシヴァと同じ近接戦闘の方が得意でな」
≪剣聖≫だからといって、カリュエヴァマだけ扱えればいいと言うわけではないと、シアに言われ「魔法」というものを追求していると、気がつけば魔導師から教えを乞われたほどだ。だが、相手は魔族で、それに対して有効なカリュエヴァマを持っていた以上、魔法を使う機会があまりなかった。それにより、どうしても近接戦闘主体になってしまったのだ。
「じゃあ自軍で、宝玉かアムルを狙ってきた相手を倒せばいいじゃない」
「理由はもう一つある。これはさっきより重要な理由だ」
そう聞いて、セリナとシヴァは俺の方をじっと見た。そこまでする理由があるのかと。俺は息を吸い、その理由を言った。
「最前線で戦いたいからだ」
「「……え?」」
気が抜けたような声が二人から漏れた。
「聞こえなかったか?最前線で戦いたいからだ。その方が楽しいだろう」
「そんな理由……?」
「ああ」
何かを背負うことなく戦うというのは、久しぶりだからな。
「安心しろ。無論やるからには、本気で勝ちにいく。仮にセリナか宝玉が危なかった場合は、≪転移≫で助けに戻るさ」
「アムル。本当にそれが理由?」
「そうだと言っているだろう」
だが。セリナは信じようとしない。俺だって今は一五歳の魔法学院生だ。少しでも、学院生活を謳歌したいというのは当然だろう。それともあれか。何か変なことでも言っているのだろうか?
隣で、シヴァが小さく震えていた。どうやら、笑いを堪えているようだが、耐えきれず吹き出した。
「ごめんごめん。アムルくんでも、そういうの思っちゃうんだなって。そしたら笑いが止まらなくなって……」
隣でセリナが、大きく溜息を吐きながら、
「分かったわ。そこまで言うんだったら今回は班長やってあげる。その代わり、絶対に優勝するわよ」
セリナの目は、既に優勝という頂しか見ていない。
「そうだね」
シヴァも嬉しそうに頷いた。




