表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/108

ベイラムの本性

昨日投稿できなかったので、今日の6時過ぎくらいにもう1話投稿しようと思います!

 少し前のことーー。

 

「ん……」


 金色の光が差し込み、意識が覚醒する。ぼやけた視界で、セリナは辺りを見渡した。


「嘘……」


 そこには、一つ星の生徒、そしてリエルが意識を失ったまま、横たわっているのだ。


「先生!起きてください!」


 一番近くにいたリエルの元に駆け寄り、身体を揺らす。しばらくして、リエルも目を覚ました。


「良かった。無事だったんですね」


「……セリナさん。なんでこんなところに?」


「分かりません。気がついたらここに。それにみんなも……」


 リエルが一つ星の生徒の方を見る。


「みんな!」


 リエルとセリナはそれぞれに声をかける。程なくして、全員が目を覚ました。全員に目立った外傷はなく、気を失っていただけらしい。


「ここは……地下?魔法結界の魔力源の場所のようですね」


 リエルが辺りを見渡し先に進むと、金色に輝く一つの魔力結晶だけがあった。


「なんでこんな場所に俺たちは……。確か手紙の言う通り、三十◯分早く学院に来て廊下を歩いてたら……」


「手紙?」


 カジムの発言に、リエルが首を捻る。


「え?リエル先生が出したものじゃないんですか?俺たち全員持ってますよ」


 カジムがその手紙をリエルに見せる。セリナや他の生徒らもその手紙を出した。


「こんな手紙。私は出してませんよ」


 リエルは困惑しながらも否定する。


「じゃあ、誰が……」


 コツコツと足音がこの地下内に響いた。誰もが、その足音に意識を向けられる。ゴクリと唾の飲むような音が聞こえる。その足音が近くなるにつれて、この正体も露わになっていく。


「その手紙を出したのは……私ですよ……」


 気怠そうな声で、ベイラムは暗闇から姿を見せた。


「ベイラム先生……」


「な、なんでこんなことするんですか!?」


 生徒の一人がベイラムに問う。


「この喋り方は……疲れますね……」


 前髪を流し、鋭い目を向ける。一つ星の生徒は後退り、セリナとリエルも額から汗を流した。


「そうだな……。あえて言うとするのなら……害虫駆除……とでも言うべきだろう」


 顎に手を当てしばらく考え込み、言った。


「害虫駆除ですって……?」


「ああ……。この学院にある……ありとあらゆる膿を排除し、新たな学院へと生まれ変わらせる。これはその始まりに過ぎん……」


「聞き捨てなりませんね」


 リエルはベイラムの目の前まで向かい、見上げる。二人の身長差はまるで親子のようだが、リエルはベイラムのような鋭い目つきをしていた。


「彼らは立派な生徒です。彼らを害虫呼ばわりしたことを訂正してください」


「害虫だ……。我々貴族……。二つ星こそこの学院、強いてはこの国を支え、導くのだ……。貴様らのような……。ただのうのうと生きているだけの弱者など……この世には必要ない……」


「それは違います!貴族だけで成り立つ世界なんてありません!貴族と国民が手を取りあって、どうやって国を豊かにするか、知恵を出し合ってそうやって国は!世界は成長していくんです!」


 リエルは声を張り上げ反論する。


「黙れ……。そもそも貴様のようなやつが教員をやっていること自体、おかしいことなのだ……」


「先生を侮辱するんじゃねぇよ!」


 ゼノンが足を一歩前に踏み出して、言った。


「先生は、俺たち一つ星だろうと親身になって話を聞いてくれるんだ!あんたのような凝り固まった考えを押し付けてんじゃねえよ!」


「ふむ……」


 ベイラムが言葉を漏らすと、ゆっくりとゼノンの方へと向かった。


「な……なんだよ……」


「貴族に反論した罰だ……。まずは貴様からだな……」


 そう言うと、ゼノンの腹に膝蹴りを入れた。


「ガハッ……」


 堪らず声を漏らし、膝から崩れ落ちた。息苦しさから逃れようと、必死に酸素を取り入れようとする。ベイラムはゼノンの髪の毛を掴み、強引に持ち上げる。


「ちょうどいい……。力を持たない弱者が……強者に歯向かうとどんな目に遭うか教えてやる……」


  ベイラムはゼノンを投げつける。壁に叩きつけられたゼノンは、その衝撃で意識を失った。


「ゼノンくん!」


 セリナはゼノンの元に駆け寄り、回復魔法を使おうとする。しかし……。


「魔法が……使えない?」


「ここは既に私の領域……。ありとあらゆる結界が張り巡らされている……。ありとあらゆる魔法を封じ、誰も助けに来ることもない……。貴様らはここで命を落とす……」


 ベイラムは次の標的を誰にするか、目を向ける。一つ星の生徒らは足が震えていた。『死』という恐怖が身体を強張らせているのだ。


「待ちなさい」


 リエルが前に立ち塞がる。ベイラムは苛立ちを見せた。


「どけ……」


「いいえ。退きません。生徒を守るのが教員である私の仕事です」


「く。くくく。この状況でもなお、教員であろうとするとは……その心意気だけは褒めてやろう……」


 込み上げる笑いを必死に抑えて、ベイラムは言った。


「一つ聞きます。一つ星を排除するのは分かりました。だったら何故、セリナさんもこの場にいるんですか?彼女は正真正銘、二つ星の生徒ですよ」


「簡単なことだ……。奴は二つ星にも関わらず……一つ星と仲良くしているようだからな……。あれは二つ星の恥だ……。排除して構わない……」


「恥などではありません。誰とも隔てなく接することができるのは、立派な強みです」


「その口……いい加減黙らせる必要があるな……」


 ベイラムは魔法陣を展開する。


「なっ……!ありとあらゆる魔法を封じるはずじゃ」


 リエルは驚愕したような表情を浮かべた。


「自身の魔法を……封じる訳がなかろう……」


 ベイラムは至近距離で≪紅炎(グラン)≫を放った。魔法障壁も展開できないこの場で、まともに喰らったリエルはその場で地面にひれ伏した。


「次は貴様だ……。セリナ・アークネルド」


 ベイラムはセリナに標準を定める。


「おおおああああああぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!」


 カジルが絶叫ともとれる雄叫びを上げながら、ベイラムに突進していく。ベイラムは深い溜息を吐き、魔法障壁を展開した。


「ぐぅ……」


「小蝿が……。黙っていろ……」


 カジルを弾いた魔法障壁を飛ばし、それごとカジルを壁に叩き付けた。一つ星の生徒は、セリナの元に集まり、ひとかたまりになっている。


「すぐ楽にしてやる……。そのままじっとしていろ……」


 ベイラムが足を踏み出そうとすると、それをさせまいとリエルが手を伸ばし、掴んでいた。


「いか……せませんよ……」


 ベイラムは足元を見下ろし、軽蔑するようにリエルを見た。


「あいつらを片付けた後……貴様を殺して……アムルを殺す……。そして貴族だけが生きる世界を作るのだ……」


「なかなか面白いことを言うじゃないか。ベイラム」


 この場にいるはずのないはずの声が聞こえ、ベイラムは顔を上げた。セリナたちの前に俺が立っているのだ。セリナたちを守るように、俺は立ち塞がった。


「ば……馬鹿な……。場所が分かったとしても……ここに侵入することなど不可能だ……。どうやって、どうやって……」


「随分と派手にやってくれたな」


 ドスを効かせた声で俺は言い放つ。壁に横たわっているゼノンとカジル。ベイラムの足元で全身ボロボロにしているリエル。彼らは身を挺して、彼女たちを守ってくれたのだろう。


「昨日、≪隠蔽(ルミオス)≫で廊下にいたのはお前だな?もっと魔力を潜めろ。バレバレだったぞ」


 何故分かったのか?と今にも言いたげな表情を浮かべていた。なんとも情けない面だ。


「なら、俺があの場で言ったことを覚えているな?」


 俺は息を吸い、言った。


「先生を、俺の友人の悪口を言うだけでは飽き足らず、ここまでやってくれたんだ」


 俺から溢れ出る魔力に、ベイラムは堪らず後退りをする。


「ただで済むとは思うなよ。ベイラム」


 氷のように冷たい声が、この辺りに響いた。

アムルの逆鱗に触れてしまったようです!

本気のアムルの実力は!果たしてベイラムの運命は!


そしてヒロインなのに、ヒロインらしいことを全くできていないセリナの運命は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ