表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/28

従魔証明の驚きの理由

 話が終わると、皆各々準備の為会議室を出ていく。

 キムも皆に倣って出ていこうとするのを、俺が呼び止めた。


「キム、悪いんだが一つ頼みがある」

「ん?何?」

「実は……俺、旅に出たことなくてさ。出来れば色々必要な物とかあったら教えて欲しいんだ」


 ゲームでは、昼夜は存在したが、当然寝なくても疲れることもなく冒険が出来た。

 だが、現実ではそうも行かないだろう。

 異世界の旅と言えば、やはり野宿が定番だ。

 けれど、俺はキャンプなんかも行ったことは無く、何が色々入り用になってくるのか、さっぱり分からなかったのだ。


 初対面の奴にこんなことを頼むのは気が引けるが、冒険者で知り合いはキムしかいない。

 リンダ達は論外だった。

 それに、何となくだが、キムは信用に足る人物だと俺が勝手に思っていた。


「何だ、そんなこと?別に構わないよ?」


 キムは、俺の申し出を快く承諾してくれた。

 だが、ただ助けて貰うだけなのは引け目を感じるので、俺もあることを提案する。


「代わり、と言っては何だけど…………これは誰にも言わないで欲しいんだが……」

「?」


 俺は声を潜めながら、キムに自分の左薬指に嵌めてる指輪を見せた。


「っ?!それはもしかして、レムルリングかい?!」


 キムが驚愕に目を見開く。

 何故俺が、態々内緒話のようにしなくてはいけないかと言うと、ゲームの時にも実際にあったことだが、このアイテムボックスを欲しがる奴は五万と居る。

 故に、よく狙われたりしていたのだ。

 ゲームでは、合法でアイテムをかけた公然試合もあったりしたが、この世界ではきっとそんな試合はないだろう。

 最悪、力ずくで手に入れようとしてくる輩もいるかもしれない。

 だから、あまり大事にはしたくなかったのだった。


「ああ。もし必要なら、キムの荷物も俺が預かる」

「それは助かるよ!それって、確か無尽蔵に荷物が入るだけじゃなく、時間経過もないんだよね?」


 俺は頷いて肯定した。


「それじゃ、お願いしていいかい?」

「ああ。勿論だ」


 キムはとても喜んでくれて、そんな顔をされると、やはり俺も嬉しくなると言うものだ。

 何となく、キムとは長い付き合いになりそうな予感がした。


 そうして俺達も会議室を出ると、そこにはウィストさんが、何故か待ち構えるように立っていた。


「やあ。アスカくん。ちょっと今いいかい?」

「ウィストさん?申し訳ないんですが、あまり時間が無くて……」

「大丈夫。それ程時間は取らせないよ」


 ウィストさんがそう言うので、俺はちらりとキムを見る。

 キムは、特に気を悪くしたわけでもなく頷く。


「それじゃ、僕は入り口の所で待ってるよ」

「悪いな」

「いいって」


 俺が申し訳なく言うと、キムは手を軽く振りながらその場を後にした。


「すまないね」

「いえ。それで要件は?」


 俺が聞くと、ウィストさんが手に持っていた細長い木箱を俺の前に出す。


「これを……さっきやっと届いてね。今日に間に合って良かったよ」

「これって、もしかして……?」


 ウィストさんが木箱の蓋を開けると、そこには四つの指輪が入っていた。


「そう。彼女達の従魔証明の指輪だよ」


 俺は木箱をウィストさんから受け取る。

 指輪の半透明の宝石には、何やら刻印が彫られていたが、これが従魔証明になる物かもしれないと思った。


 従魔証明はアクセサリータイプで、好きなアクセサリーを選べるのだとか。

 それを聞いた焰華とキラリが、すぐ様指輪を選択し、テンと陸もそれに合わせたのだ。


 因みに、従魔証明は有料だ。

 需要があまり無いせいもあるかもしれないが、一つ作るのに、金貨三枚必要なのだとか。

 本来、冒険者になりたての者は、出世払いも可能とのことだったが、俺は当然の如くキャッシュで支払った。


「今更だけど、何で指輪だったんだ?」


 俺は一人一人に指輪を渡しながら聞いてみた。

 それは素朴な疑問だった。

 好きな物は人それぞれなので、別に気にしていなかったが、焰華とキラリがあまりに強く主張していたので、何となく好奇心で聞いてみただけだった。


 すると、焰華とキラリがお互い顔を見合わせると、驚きの理由を口にしたのだ。


「ああ、それはね……」


 キラリが含みのある笑みを浮かべて、何故か俺の左手をチラリと見遣る。


「ん?」


 俺が首を傾げると、焰華がキラリの言葉を引き継ぐように続けた。


「ふふ。マスターはお気付きでないかもしれませんが、左手薬指には深い意味があるのですよ?やはり女性としては、想い人に指輪を贈って貰いたいじゃありませんか?」

「………………へ?あ……」


 そこで漸く俺は思い至る。

 俺は特に気にせずに左手薬指に指輪を嵌めていたが、左手薬指に指輪を嵌めるのは、本来そう言う特別な意味合いがあったんだった。


 それに気付いたら、一気に顔に熱が集まるのを感じた。


「ははは。アスカくんは随分愛されてるんだな」


 ウィストさんに冷やかすように言われ、俺は余計に恥ずかしくなって片手で顔を覆う。


「…………もしかして、だからあんなに注文付けてたわけ?」


 そう、焰華とキラリは、石の種類やデザインまでもを、事細やかに指示していたのだ。

 それこそ鬼気迫る程に……。

 あの時に気付くべきだったかもしれない。


 俺がそう聞くと、二人は同時に「当然(ですわ)!!」と言うのだった。


「えー?何?どう言う意味?」


 テンはまだ意味が分からず小首を傾げてたが、陸はどうやら気付いてたようで、俺と同じくらい顔を真っ赤にして俯いていた。


「後で教えてあげますね!」


 焰華が悪戯っ子のように片目を瞑る。

 もう俺は、二の句が継げれなかった。

 ただ、恥ずかしさのあまりいたたまれなくなり、一刻も早くこの場から立ち去りたい気持ちで一杯だ。


「と、取り敢えず!さっさと行こうか!!キムも待たせてることだしな!!」


 だからそう言うが早いか、皆の視線から逃げるように、足早にキムが待つ入り口へと向かったのだった。

最初は、主人公は左手の中指に指輪を嵌めてましたが、薬指に変更しました。

その方が、ネタ的に面白そうだったので 笑笑

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ