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「俊之介さ、じゃあ、ワシらは先に行っておるゆえ、後から参られよ」
「あいよ、じゃね」
馬上に手を振る小平太は、隊列の中に吸い込まれるように消えた。
300人ほどの軍勢が動き出すと、ススキの穂みたいに並んだ槍先が、朝焼けの光を弾いてキラキラ青白く輝いている。
本陣前の麓で野宿した俺たちは、明け方には出発準備を整えていた。
「そいじゃあ、俺たちも行こうかね」
「ですな」
先発隊を一緒に見送っている左近に声をかけると、左近も馬にまたがって頷いた。
「中塔の大根小屋っつーのは、ここからどのくらい掛かるん?」
柵を出掛けにちょっと左近に聞いてみた。
古厩郷を出て今日で3日目、ずっと荷車と人足さんたちの面倒をみてるわけで、いい加減疲れるわ。
まあ、荷車を引いているのは俺じゃないけども。
聞かれた左近は、目を空中にさ迷わせてる。
時間でも計算してるんだろう。
「さよう、二刻とは掛かりますまい。
此処からは2里ばかりでござるゆえ」
「ふ~ん、2里って何キロ?
つか二刻って何時間?」
「さあ、仰せの意味が分かりかねまする」
「ですよね・・・」
結局、先行きについて、何の手がかりもつかめないわけだが。
昼前に現地入りした俺たちは、無事に本隊と合流をはたした。
「あの丘の上に陣所を建つるぞ!
良いか、父上が御着陣の前に仕上げるのじゃ!」
着いて早々に作業を命じられてゲンナリ。
張り切って命令しているのは、30手前位の厳つい眉をした武士だ。
どことなくミスターに似てる。




