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村を抜けて少し進んだところに小高い丘が見えはじめる。
丘の上には、柵やら小屋やらが建っていて、大きな旗が何本も盛大に立ち並んでいた。
またしても左近が馬を近づけてくる。
「あれが田屋の根小屋じゃ。
西牧殿の根小屋の一つでな、この度は信濃守さまが御本陣を据えてござる」
「あ~あれね。
おーい、みんな!
後ひと踏ん張りだぞー!」
「おお!」
人足さん達から、元気のいい声が返ってきた。
ゴールが見えてくれば、まあ力も入るってもんだよね。
旗を目指して進んで行くと、丘の麓の平地に柵が有って、俺たちの行く手を阻んでいる。
柵の中には、人や馬がひしめいていた。
さらに近づくと見慣れた顔もチラホラしてる。
と、柵から1人こちらに向けて駆けてくるヤツが見えた。
「ご苦労!
俊之介さ、遅かったではないか!
気を揉んだぞ」
「あ、ゴメン。
堀金から住吉までの道が、酷いぬかるみでさ」
「ああ、あの道は悪しき有り様じゃったな。
それは難儀じゃった。
荷ほどきは小者に任せればよかろう。
さあ、休んでくれ」
「あのさ、今日はここで泊まんの?」
「さよう。
殿は今日明日は御本陣にて過ごされるとのことじゃ。
明日には総大将たる小笠原公と府中諸家の大将が打ち揃うての評定があるゆえな」
「ふ~ん、うちらはどうすんの?」
ここで2~3日休みとか・・・
そんなワケ無いか
「ワシらは、明日の朝には此処を発って中塔へ行かねばならぬ。
殿が御着陣までには、御陣所を建てておかねばなるまい」
「ですよね~」
小平太め、フツーの顔してガッカリさせてくれるし
雑談しながら柵を通り抜け、古厩の衆が屯ってる辺りに荷車を着けた。




