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「帰るなら帰るって、一言でも知らせてくれたらよかったのに」
どうやって?
「そしたら御馳走でもこさえてあげられたものを」
いやいや、この家に御馳走とか有りましたっけ?
それからおばさんは、俺の服を上から下までジロジロと観察した。
「それにしても立派になって」
「ああ、これは図書様が、持ってけって言うから」
城を出るときに着物を返そうとしたら、持ってけってさ
バイト代だろ
にこにこしながら心で突っ込んでるうち、ふみちゃんが、桶に水を張って持ってきてくれた。
「どうぞ、座って」
「あ、うん」
上がり框に腰を下ろすと、ふみちゃんが俺の足を拭こうとする。
流石にそんなことしてもらっちゃ悪い気がするんですけど。
ついさっきまでサッカーしてたからなぁ、汚れてんだよな。
「あ、いいよ。
自分でやるから」
「このくらいはさせて下さいまし」
「でっでも」
「させておあげなさいな、この子は俊之介さんの帰りをずっと待ってたんですえ」
「母さま!」
ふみちゃんの悲鳴のような声におばさんが、あっははは、と豪快に笑った。
いつも疲れたような顔をしてるけど、豪快なんだよね、このおばさん。
仕方ないな、このままにしとこうか。
ふみちゃんは、土埃で汚れた足をきれいに洗って、しかも丁寧に拭いてくれた。
「恐縮っす」
「ふふ、また分からないことを」
ふみちゃんがくすくす笑う。
ああ、帰ってきたんだな、俺




