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左近とディフェンスが、ボールを追って俺に迫ろうとする。
「左近のみ出でよ!
余の者は追ってはならぬ!
退け、退くのじゃ!」
新三郎の鋭い声が鞭のように響き、まず左近が反応した。
俺からボールを奪おうと、鬼の形相で迫ってくる。
続いて2人のディフェンスが後退する。
新三郎め、いい判断だ
けど、ちょっと遅かったかな
俺は強めにボール蹴り上げた。
ボールは左近の頭上を越えて、ボテボテとバウンドする。
それを目で追いながら、身体を踊らせて左近をすり抜けた。
そして再びボールをキープ。
ゴールは目の前だ!
俺は全ての集中力と力を右足に乗せた。
「おおおおおおおおおお!」
意識する前に雄叫んでいた。
シュート!!
キーパーがボールを追ってジャンプする。
だが、そんなのは計算済み!
ボールはキーパーを越えて四角い枠の中を貫く。
ゴールだ!!
コレだ!
コレなんだ!!
快感が背筋を駆け抜ける。
「うおおおおおお!
勝った勝ったぞ!」
小平太の声だ。
「かあああああ!
負けたかあ!」
人一倍悔しそうなのは五郎兵衛だ。
「見事なごおるじゃった!
ワシらの敗けじゃ!」
新三郎が笑いながら歩み寄ってくる。
「じゃが、次は敗けぬぞ!」
「新三郎さこそ、良い判断だったよ。
とてもサッカーを始めたばかりとは思えなかったぜ」
みんな、ホンとにスゴいヤツらだ。
集中力と勝負勘、僅かな実戦で、みんな自分の役どころを掴んじまった。
そうか、コイツ等は武士なんだ
生まれた時から勝負の世界に生きてるんだ
11人の武士とたった1人の高校生、みんなの笑い声が、澄んだ秋空に重なりあうのを俺は感じていた。




