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屋敷の向こうには、100メートルぐらい離れた位置に展望台のような建物が立っている。
あれって何だろう?
行ってみたいな
ふっと好奇心に駆られてしまう。
でも、仕事中に抜け出したりしたら、怒られるぐらいじゃ済まないんだろう、きっと。
諦めると同時にため息が出る。
「朝から如何いたした?」
ビックリして振り返ると、渡り廊下の出入り口に左近が立っていた。
サボってんだよ、とは言っちゃいけない気がするな。
しやーない、ここはテキトーな話題を振っとこ。
俺は展望台みたいな建物を指差して聞いてみた。
「あれって何?」
「あれは狼煙台じゃ」
「へ~」
狼煙台なんてホンとに有るんだ、初めて見るわ
。
仕事が休みになったら行ってみよ、とか考えていると、左近がたずねてくる。
「務めは良いのでござろうか?」
「うん、簡単な仕事だからね。
直ぐに終わっちゃうんだよね」
「なんと!
あの勘定を直ぐにも終わらせるとは、驚き入った男よな」
「そうなん?
つか、俺の仕事って何の役に立ってんの?」
「それを知らずに務めおったのか?」
あんなウネウネした字なんて読む気にもなんないし、数値以外の内容なんて知らんわ
左近は、ちょっと飽きれ顔で説明してくれた。
つまり俺がしている計算は、各村落の米の取れ高予測や負担させる年貢の集計。
特に今年は情勢が不穏であるため、戦争が勃発した場合、必要と見込まれる物資の数、などだった。
左近の話では、府中と住吉衆との話し合いは拗れているらしく、交渉決裂となれば戦争は確実らしい。
そうなればミスターは、府中側の味方として参戦しなければならず、その準備で猫の手も借りたい状態なのだそうだ。
「では、ソレガシは務めに戻るゆえ失礼いたす。
俊之介殿も務めに戻られるが良かろう」
言うだけ言って、左近は仕事に戻って行った。
あまりサボるのも良くないだろう。
そろそろ俺も仕事にもどろ。
でも、俺がしてる事は戦争準備の片棒か・・・
これについて、俺には拒否権が無いわけだが。
父さん母さん、なんだか俺にも、ぐんくつの足音が聞こえてきました。




