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その男はお構いなしで話し掛けてくる。
「先だっては、大変でございましたな。
したが、あの不埒な輩を取り押さえたお手並みは、 まことにお見事でございました」
「あ!」
思い出した、完璧に
つか、まだこの郷にいたの?
男は、あはははは、と高笑いした。
「思い出していただけましたかな?
手前は小間物を商っておりまして、佐吉と申します。
以後お見知り置き願いたいものですな 」
「あの時は加勢してもらっちゃって、ありがとうございました。
でも、俺なんかと知り合ったって商売の役には立たないんじゃ・・・」
「なんのなんの、手前の商いは目利きが肝要にございますれば。
手前の見ますところ、俊之介さんは、これからもっと値の上がる御仁でございましょう」
なんのこっちゃ
「つか何で俺の名前を?」
「ああ、それは古厩さまにお聞きしまして」
「あ、なるほど。
そいで、何でまだこの郷に居んの?」
「図書さまに留め置かれておるのでございます」
「なんで?」
「それはちょっと手前の口からは・・・
まあ、いずれ俊之介さんにも図書さまからお話がございましょう」
「ふ~ん」
あまり言えない話なんかな
まあ、俺には就職試験とかで無いなら関係ねーし
ちゃっちゃと終わらして、帰ったら瓜食おう
まさかヤツら、全部食っちゃったりしないよな?
ちょうどその時、目の前の襖がカラリっと軽い音をたてて開いた。
顔を出したのは若いサムライだ。
俺と佐吉さんが注目する中、そのサムライが声をかけてくる。
「俊之介とやら、殿がお呼びじゃ。
ついて参れ」
ヤバイ、なんかドキドキしてきた。




