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「大丈夫、練習の時に走れたんだから、あれと同じように走ればいいよ」
「じっじゃが、もしもワシが負けたら・・・」
「俺は小平太さを信じる。
だから小平太さも俺の言うことを信じてくれ」
小平太の目に光が宿った。
いつもの小平太だ。
「うむ、心得た」
そして等々力の五郎兵衛に並んで立つ。
「仕度は良いか、五郎兵衛殿」
「ふん、逃げなんだのは誉めてつかわすぞ」
2人が並んで立つのを見届け、俺はイケメンの新三郎に声をかける。
「新三郎さ、合図をお願いします」
「うむ、承知した。
して、どのようにすれば良いのじゃ?」
「はい、2人が並んだところで手を叩いて合図をしてください」
それから俺は、小平太と五郎兵衛に声をかけた。
「新三郎さが手を叩いたら走り出すこと。
その先の1本杉を手で叩いたら、折り返してここに戻ること。
OK?」
「おっけえじゃ!」
「あい分かった。
早よういたせ!」
俺は新三郎にうなずいてみせた。
うなずき返した新三郎が、2人に向かって号令する。
「各々がた、仕度は良いか?」
「おお!」
「早よういたせ、待ちかねたわ!」
「では、各々がた、駆けられよ!」
ぱんっ
手の音と同時に、2人とも土くれを蹴あげる勢いで駆け出した。
駆け出した2人の姿に、周りの見物人から、ほう、と吐息が漏れる。
「早いのう、流石は五郎兵衛殿じゃ」
「いや、小平太も中々じゃぞ」
五郎兵衛は確かに早かった。
ばんえい競馬みたいな力強い走りだ。




