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「待たれよ、五郎兵衛殿。
さっかあは礼に始まり礼に終わるものじゃ。
無礼は恥ぞ」
「ふん、ワシはそのような話は聞いておらぬ。
ワシにはワシのやり方があるわい。
詰まらぬ口出しは無用のことぞ」
五郎兵衛っつーヤツは、どうも我の強い男らしい。
小平太もたいがい頑固だから、放っといたら険悪な感じになりそう。
まあ、この手のヤローはサッカー部の先輩にもいたから慣れっこだけど。
「まあまあ、言い方が悪ければ謝るよ。」
俺はペコッと頭を下げて見せる。
「この通りだ、許してくれ」
「ふん、なんじゃ。
悪党を捕らえたと言うから、どれ程の者かと思えば存外な男よの」
「俊之介さ・・・」
小平太の心配そうな顔をそのままにして、俺は話を続けた。
「それより頼みが有るんだけど聞いてくれん?」
「ほう?
申せ、聞くだけは聞いてとらすわ」
「うん、小平太さと、駆け競べして欲しいんだけど。」
「があっはっはっはっ小平太と駆け競べせよと申すか。
良かろう、が、ただというのも詰まらぬ。
ワシが勝ったら、ワシの好きにさせてもらうぞ」
「おけ」
「しっ俊之介さ!
そりゃ無茶じゃ、この辺りで五郎兵衛殿に勝てる者はおらぬ!」
日頃の強気にも似ず、小平太が情けない顔をした。
もし負けたら、俺に迷惑が掛かると思ってんだろう。
一緒に遊ぶようになってから、まだ日が浅いけど分かり易過ぎだろ、小平太。




