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悪戦苦闘の末、俺はどうにか2尾の魚を獲って川から上がった。
小平太は、約束どおり火を焚いて待っていてくれた。
「遅いではないか、俊之介さ。
気を揉んだぞ」
「ごめんごめん、はい、これ」
俺は捕まえた魚を差し出した。
「おお!
ヌシは、さっかあのみならず、水を潜る術にも得てておるのじゃな。
いや、驚き入ったことじゃ」
「そんな大袈裟な」
「いやいや、大したものじゃ。
どれどれ、見せてみよ」
小平太は、懐から小刀を取りだし、受けとった魚の腹を割いた。
その間に俺は、濡れた足袋とサラシを脱いで火の近くに置いて乾かした。
串刺しにした魚に、ふみちゃんからもらった塩を砕いて振りかけ、火にかざす。
「どうじゃろう」
小平太はさっきから待ち遠しそうに、何度も火の通り具合を見ている。
「そろそろ良かろうか?」
「いいんじゃね?」
「よし、では食そうぞ」
それぞれに焼けた魚を手に取ってかぶりつく。
「これは旨いものじゃな、俊之介さ」
「だね」
どちらからともなく顔を向けあい、腹の底から笑いあった。
いつの間にか日は西に傾き、風が涼しさを増している。
夏は、もう終わるんだな
幾つ季節が巡っても、こんな穏やかな日が、きっと何時までも続くんだ。




