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ボールは甲の上で、ピタッと静止している。
「ここからボールを取ってみなよ。
ただし、足だけでね。
それから、俺の足は蹴らずにボールだけ蹴ること」
「心得た!」
威勢のいい返事とともに、小平太はぐっと腰を落とし、右足を引いて構える。
来る!
俺は軽くボールを跳ね上げた。
「きえぇぇい!」
ブォッ
腰の入った鋭い蹴りが、ボールと左足の間の何もない空間を切り裂いた。
勢い余った小平太は、どしんと尻餅をつく。
ボールは左足の甲にちょこんと戻っている。
「なっなななっ!
何故ぼおるがそこに有るのじゃ?」
ガバッと起き直った小平太のヤツ、顔真っ赤だ。
自慢の蹴りをスカされて、悔しいんだろう。
やっぱりな
俺は確信めいたものを感じた。
「もう1回やる?」
「おお!」
「はあっはあっはあっ」
俺の前で、小平太が肩で大きく息を吐いていた。
何度やっても結果は同じだったんだ。
ちょっと可哀想だったかな。
でも小平太の性格なら、同情されるのは嫌だろうな。
じゃあ、ちょっとだけヒント。
「小平太さ」
「うん?」
「蹴らなくてもいいんだよ」
「どういうことぞ?」
「ちょこんと当てればいいんだ」
「ちょこんと?」
うーむ、と難しい顔を俯けた小平太は、そのうち何を思ったか、はっと顔を上げた。
「いま1度じゃ!」
「おけ」
俺が左足にボールを載せると、小平太は、今まで通りの腰を落とした構えをとる。
何も変わって無いじゃん
やっぱ人の話を聞かないタイプ?




