4
「これは蹴鞠じゃが、どうじゃ?
ぼおるになろうかの?」
2人で連れだって玄関を出ると、小平太が待ちかねたように、両手で毬を突き出してきた。
約束通どおりボールを持って、袴の裾には布が巻き付けてある。
「ふん、ちょっと貸して」
俺は毬を受け取り、軽く手の上でポンポンと重さを計ってみる。
サッカーで使うには、サイズが一回りほど小さいかな。
小学生用のボールみたいだ。
重さも半分ぐらいだし。
色々と工夫の余地はありそうだな。
でもまあ、贅沢は言えないか。
「うん、今日のところは、これでやってみよう」
「おお、さようか!」
とは言っても、いきなりサッカーなんてできっこないし。
今日は、ボールを追っかけることの楽しさを知ってもらえばいいや。
俺のサッカーの原点だってそれなんだから。
それに、ちょっと試したい事も有るしね。
久しぶりに感じるワクワク感。
俺はボールを抱えて小屋の裏手の空き地に向かった。
「いい?
今日はボールを蹴る感触に慣れることから始めようか」
「ふむ、それで良いのか?」
「どうして?」
「修練とは厳しきものであろう。
ワシに気兼ねは要らぬぞ、俊之介さ。
どのような苦行にも耐えてみせよう」
「ん~ちょっと違うんだな」
「何が違うのじゃ?」
「そいつは口で言うより、やってみれば分かることさ!」
「もとより望むところじゃ!
参られよ!」
小平太がにぃっと笑った。
笑い返した俺は、パッと胸の前で両手を放す。
真っ直ぐ落ちるボールが地面に触れる寸前、足袋を履いた左足の甲で受け止めた。
「ほう!
あい変わらず見事な技じゃ」




