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玄関を飛び出して地面を力一杯蹴る。
と、左の爪先がズキッと痛んだ。
でも、そんなことに構ってはいられない。
俺の天使が危ないんだから。
って、あれ?
ふみちゃんは見えるんだけど、ヤローはどこ?
焦りまくってキョロキョロする。
あ、あんなとこに居やがった
若い男は、ふみちゃんとは反対方向に向かって一目散だ。
幸いなことに男は、ふみちゃんを追う気は無いようだった。
ふみちゃん無事なんだ!
ほっとした。
それにしても、男はどこに行く気なんだろう。
たしかあっちは、郷の外に続いてるはず。
そうか、郷から出ようとしてるんだ!
んん?
走ってるんだよな、アイツ?
いや、確かに走ってるようではあるんだけど。
なんつーか、バタバタしてるだけで酷くノロマ。
無銭宿泊じゃないけど、どーしよ、追うか?
いや、考えるのは後でいいだろ。
逃げたってことは、何か疚しいに決まってら。
今大切なのはヤツを逃がさないことだ。
意を決してダッシュ!
足の裏が痛い、つか熱いぐらい。
でも、ヤツとの距離はぐんぐん縮まってゆく。
マジで遅い。
頑張ってる亀みたい。
俺の足音が迫るのを聞いて、振り返った男は一瞬目を見張り、直ぐに物凄い剣幕で怒鳴り付けてきた。
「しつけぇ小僧だ!
いい加減にしやがれ!」
勢いで追っかけたけど、ちょっと怖い。
ど~しよ、あ、そだ!
「あ、いえ、お客さん忘れ物です」
「え?」
「その~お泊まりにならないのでしたら、荷物とお金を返さないとなりませんから」
「お、おう」
男の表情が緩む。




