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新しいお客さんの口振りからすると、げん爺が計算を苦手なのが商人たちにバレてて、料金を誤魔化せるって噂になってんのかな?
「こりゃ人を呼んだ方がいい。
ご主人、誰か人を遣って、お役目の方をお呼びしたら如何ですかな?」
「へえ、おい、おふみ」
「あ、はい」
両手で薪を抱えたふみちゃんは、玄関先に突っ立っていた。
揉め事のせいで中へ入れなかったんだ。
げん爺が、続けてふみちゃんに声をかける。
「ひとっ走りして、兵衛さまにお知らせせぇ」
「はい」
ふみちゃんは、薪を置くと足早にその場を立ち去って行く。
するととたんに、若いお客さんが慌て出した。
「おいおい、ちょっと待ってくれよ。
そんな大袈裟な」
「まあ、お役目の方が来るのを待ちましょうや」
「ぐっ・・・」
対する新しいお客さんは余裕だ。
「ちぃっ!」
鋭い舌打ちとともに若いお客さんは、こっちに荷物をに投げつけてきた。
ヤベって思ったけど、急には反応できっこない。
俺はぶつけられた荷物を抱えたまま尻餅をついちまった。
痛てて、くそっ!
怯んだ隙に若いお客さんはダッシュをかまして玄関から飛び出していく。
これもうお客さんじゃないだろ。
でも、泊まって無いんだから無銭宿泊にはならないのか?
俺は一瞬迷ってしまった。
つか、ふみちゃんヤバくない?
もしアイツが足止めのために暴力を振るったりしたら!
俺は跳ね起きて玄関から飛び出した。
早く追わなきゃ!




