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「畏れ入ります。
・・・さりながら」
「下がれと言っておろう!!」
「こっこれは失礼をば」
あれ?和尚のヤロー、バカ小僧の勢いに押されて下がっちまったよ。
インテリっつーもんは、権力や暴力には弱いもんなんだな、うん。
バカっ小僧が勝ち誇って笑う。
「ワシは古厩の小平太じゃ!
見知っておくがよかろう」
「へー、んじゃ覚えとくわ。
そだ、挨拶がわりに良いもん見せてやるよ」
悪いけど、いい加減俺も頭に来てるんだよね
俺は、まだ固い桃の実を拾い上げ、ぽいっと空中に放りあげた。
何事が始まるのかと、小平太のバカっ小僧め、ぽかんと口を開けて見てやんの。
落ちてきた実を左足でさらうように受け止め、ぽんぽんとリフティングしてやった。
左足の爪先がジンジンするけど無視。
小平太のヤロー、俺の足の上で踊る桃の動きをびっくりした目で追ってやがる。
チャーンス!!
「よっと!」
ひときわ力をこめて蹴りあげた。
ポーンと高く上がった桃の実は、一瞬、空中で停止してから、引力に引きずられて地面に向かう。
そこをじっくりと狙い・・・
右足でシュート!!
桃の実は、小平太の左耳をかすめて後ろへと飛び去った。
狙いどおり。
顔はハズしてやったんだ、感謝しろバカ小僧め。
2~3歩後ずさった小平太め、ストンと尻餅をつきやんの。
ザマァ
和尚のヤツもぽかんとしてやがんな。
あ~スカッとしたわ。
我に返った小平太め、立ち上がりざま、取り繕うようにパタパタと埃を払ってから、しばらく黙ったまま俺を睨んだ。
それからゆっくりと表情が緩む。
なんか満足そうに見えるんですけど何で?
「なるほど、これぞさっかあなる武芸が奥義か。
しかと見届けたぞ俊之介」
おまっ奥義とか厨二かよ
呆気に取られる俺を残して、小平太のヤツ、くるりと踵を返した。




