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通された部屋は、こじんまりとした小部屋で、まあまあ清潔。
これが客間なんだろうけど、テーブルとかは無い。
「ただいま殿にお取り次ぎいたしやすで」
そう言い残してオッサンが出ていってしまう。
そうなりゃやることがない俺は、壁に掛けてある水墨画の掛け軸をぼんやりと眺めるぐらいしかできなかった。
他に見るような物もないし。
そうするうち、廊下にドカドカと重い足音が響き渡った。
俺を殴ったヤツなんか?
ちょっと緊張。
部屋へ顔を出したのは、厳めしい顔と引き締まって俊敏そうな体をした、40歳手前ぐらいの男だった。
あのヤローだ
でも今日はそれほど怖い雰囲気でもない
リラックスしてんのか?
大痔ヌシは、服装もきちんとしているし袴も穿いていた。
ちょんまげもバッチリ決めている。
気がつけば、俺はいつのまにか頭を下げていた。
背丈はやっぱり低いけれど、そうせざるを得ない何かを感じる。
これが威厳ってヤツなのか。
さすがにこの辺り一帯の顔役だけのことはありそうだ。
向き合いに座ったサムライは、和尚に気さくな声をかけた。
「これは青原寺の。
ようまいった」
「畏れ入ります。
兵衛さまには御機嫌麗しゅう存じます」
「うむ、まあ堅苦しい挨拶は抜きじゃ。
ゆるりといたせ」
「は、は」
和尚がわずかに顔をあげた気配がする。
「ワシは古厩の盛勝じゃ。
時にその方、俊之介と申すか。
その方も面をあげよ。」
俺か?
俺に言ったのか?
ええっと確かハイハイ言っときゃいいんだよな?
「はい」
返事はしたものの、俺は動かなかった。
下手に動けば首が跳ぶ、とかさんざっぱら脅されたし。




