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俺は、その山を指さした。
「あれって有明山じゃ・・・」
「ほう、有明山を知っておるのか」
「・・・」
インテリ和尚はいぶかしそうな目付きで、こちらをじっと見ている。
でも俺にとっちゃ、それどころじゃない。
有明山は子供のころから見てきた山だ。
山に興味があるわけじゃないけど、地元じゃ有名だから誰でも知ってる。
でも・・・それを囲む風景は、俺の知ってるものとは違う。
舗装道路が無いし車も走っていない。
電柱も無ければ金持ちの別荘も旅館やホテルも何も無い。
いま見えんのは、山の裾野にだだっ広くひろがる松林だけだ。
俺の見てきた山は、ここまで林が深くはなかったはず。
崩れ落ちそうになった。
やっぱこれ間違いねぇ
ホンとに過去に来ちまったんだ
何でこんなことになったんだ?
俺、もう帰れないのか?
どうすりゃいいのさ、俺。
ショックでぼんやりしていたんだろう。
大きめの石につまずいてしまった。
「あう!」
「今度はなんじゃ?」
あきれ顔のインテリ和尚が足を止める。
痛みがちょっと尋常じゃないから、左足を抱え込んで爪先を見てみると、親指の爪が割れて血が滲んでいた。
歩きだしてすぐに気づいてはいたんだ。
草鞋ってヤツは地面の感触を足の裏にダイレクトに伝えてくるってこと。
アスファルトじゃあるまいし、小石を踏んだだけでも結構響く。
それをのぞき込んできたインテリ和尚は、ますますあきれたような小バカにしたような顔で、ため息混じりの言葉を吐き出してくる。
「なんじゃ、その赤子がごとき足は」
あんだとっ




