2
ちなみに幾らで俺を売ったんだって聞いてみたけど、そこは教えてくれなかった。
分け前を寄越せって言われると思ったんかね。
その代わり、とにかくお前は運がいいんだぞって、そこだけは強調されたわ。
ふつうは他所者が捕まれば厳しい詮議を受けて、場合によっては殺されてしまうらしい。
そこのところをワシらが説得したんじゃって鼻の穴を膨らませて威張りやがんの。
助けてやったんだから人身売買ぐらい気にするなってか!
まあ、今さらグチグチ言ってもしかたねー、納得できないけど、逆らえば殺されちゃうらしいし。
朝日が昇りきると、和尚はようやく腰をあげた。
これでわけのわかんねーレクチャーから解放されるのかと思うと、正直ホッとする。
土間でお気に入りの下駄を突っ掛けてると、また和尚がなんか言い出した。
「これ、足駄はいかんぞ、これを履け」
「んん?」
和尚は、予備の草鞋を投げて寄越した。
空中でキャッチした俺は、まごまごしながらも履いてみる。
うん、軽いしフィット感もあるしこりゃいいかも知んない。
小屋を出てみれば、早くも陽射しはじりじりと地面を焦がし始めている。
今日も暑くなりそうだ。
うん、と力いっぱい背伸びをしてみる。
久しぶりの外だ、こりゃあ気持ちいい
これがキレ痔の就職面接とかじゃなくて、ふみちゃんとデートなら、もっと良かったのに
ところが和尚のヤローめ、歩きだすなり俺の顔色を読みやがんの。




