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あ、俊之介ってのは当て字ね、俺が勝手につけてみた。
で、今さら呼び名なんてどーでもいいから放置。
「こりゃお前、何処に行く気だ?」
どこって、トイレに決まってんじゃん
俺はイライラしながら声のする方に振り返った。
「あ!ジジイ!」
「ジジイとは随分な言われようじゃなあ」
「あ、いえ、悪い言葉ほど早く覚えるもんなんです、おじい様」
ジジイはふふんっと鼻で笑った。
相変わらずのしわくちゃだな。
このジジイは、坊さんと一緒に俺を拾ったヤツだ。
んで、ついでにふみちゃんのお父さん、年寄りっぽく見えるけど
考えてみれば、あのまま放っといてくれたら、俺はこんな目に遭わなかったんじゃね?
くっそー、やっぱジジイでいいわ、心の声では。
そのジジイが、ふみちゃんに手を振って何か言ってる。
仕事でも言い付けたんだろうか。
ふみちゃんは、ジジイの言葉にうなずき返して俺から離れて行っちった。
くっそージジイめ、何言ったか知らんが余計なことを
「それでお前は、何処へ行く気じゃった?」
ふみちゃんが視界から消えると、ジジイは俺に向き直った。
「あ、トイレっす」
「といれじゃと?」
「あ、厠ね」
「ならば、そう言ったがよかろうが」
「へいへい」
俺はくるりとしジジイに背を向けて、小屋のわきに流れる小川に向けてスタスタ歩きだした。
やっぱりジジイもついてくる。
俺はしぶしぶ、小川をまたいで建てられている粗末な小屋に入った。
ようするに天然の水洗トイレってことだ。




