12/848
9
「離せや!ハゲ!」
俺は、ハゲの衿をつかみながら立ち上がり、ぶるっと身体をふってやった。
ハゲの足が、ふわっと地面を離れる。
思ってたより小柄じゃん。
衿から手を放してやったら、ハゲはころころ転がった。
ザマァ
と思った瞬間、両サイドにサッと人影が動く。
ヤバッ!
とっさに身体をひねって力いっぱい地面を蹴った。
右に動いた影が空を切って、ちょんまげが一人、盛大に転がった。
が、左サイドから脇腹に痛みと衝撃が走り、今度は俺が転がされてしまった。
くそっ!
現役だったらかわせる程度のタックルなのに!
部活が終わってダラけてたのを、今くらい後悔したことは無かった。
いや、マラソン大会も入れて2回目か?
結局俺は、板の間でメシを食ってたハゲとちょんまげの3人に、よってたかって押さえ込まれてしまった。
右手は体の下敷きになって動かせない。
頬が地面にこすれてチリチリする。
口の中に血と砂がまじってイヤな味がひろがった。
もどかしさと怒りに目がくらむ。
やっとのことで顔をあげると、ぼさぼさのちょんまげが目に入った。
くそっ偉そうにズラなんか付けてんじゃねえや!
「この、ちょんまげヤローが!」
俺は自由になる左手で、ちょんまげを引っつかんで力任せに引っ張った。




