今世の家族
転生してからもうすぐ6年が経とうとしている。
俺は今世ではカラブ王国に属するリドニア・ヴァルカン伯爵の子供として生まれアレスと言う名を与えられアレス・ヴァルカンとして生きている。
書庫で本を読んでいると「アレスは本当に本が好きだよな」という声が聞こえる。声の主は兄のティリーだった。「あ、ティリー兄さん どうしました?」と聞くと俺の頭を撫でながら「朝食の時間だ 本の山一緒に片してあげるから一緒に行くぞ」と言う。
ティリー兄さんはヴァルカン家の次男でよく周りを見ていて困ってる人がいたら助けに行く少し無愛想な所もあるけど、とても優しい心を持った人だ。この間も掃除しているメイド達の手伝いをしているのを見かけた。さすがはティリー兄さんと言わざるおえない。
食卓に着くと皆が席に着いていた。「すみません、本に夢中になってしまいました」と一礼し席に座る。
食卓の上座に座る父のリドニアが「ガハハ 良い良い アレスは知識に貪欲だからな」と言う。500年後に転生したんだ、この500年で何か変化がないか気になるのは当然だ。父の言葉に「貴方、5歳だからとアレスを甘やかさないでください、ご飯は温かい内に家族皆で食べないと」と言うのは母のリリィ・ヴァルカンであり父とは学生時代からの仲らしいがそこら辺はよく知らない。だが、実力者なのは間違いないだろう。
リリィがリドニアを叱っていると「まぁまぁ、お母様落ち着いてください。 今は食事を楽しみましょ?」と止めに入るのはヴァルカン家の長女 アリスベートである。アリスベート姉さんは常に温厚でとても優しく魔法の才能がとても高く王都の魔法と武術に特化した学園、スペロニア学園の高等部2年であり魔法だけなら学園のトップである。
「アレス、沢山食べろよ 沢山食べて力をつけないとな! 俺の様にはなれないぜ?」と長男であるセルバ兄さんが言う。セルバ兄さんは、熱いとにかく熱い肉体系で体力は1日中全力疾走しても残るというスタミナの化け物であり、アリスベート姉さんと同じくスペロニア学園の高等部で学年はアリスベート姉さんの1つ下であり武術においては学園内のトップ5に入る程の実力者である。
「セルバ兄さん アレスがどのようになるかはアレス自身が決めることですよ」とティリー兄さんが呆れながら言う。ちなみにティリー兄さんもスペロニア学園の学生でアリスベート姉さんとセルバ兄さんとは違い中等部である。
「うふふ、今日も皆元気ですね」と皆のやり取りを見て笑いながら食事をしてるのは、ヴァルカン家次女で兄弟で俺に歳が1番近い姉のセレティアである。スペロニア学園の小等部の学生で座学でトップの成績を取れる程の知識力をもち、学力なら中等部以上である。
今の俺の家族は全員優秀でありヴァルカン家は王族、貴族、平民問わず注目されているのは間違いないだろう。それに俺も俺でこの約6年間のんびり知識だけを得ていた訳ではない。1歳から魔力を、2歳の時には闘気を家族に怪しまれないよう隙を見て鍛錬してきた。
今なら中級の魔物レベル3までなら倒せるだろう。だがそれは戦い方を知っていればの話だ。さすがにこの歳で武器を持つのは変だからな。だけどもう我慢出来ない。自分に合った武器を造りたい!
考え込んでいるとリリィが「そういえば、そろそろアレスの誕生日ね!アレス何か欲しいものはない?」と言い俺はチャンスと思いながらダメ元で「鍛治場が欲しいです」と言う。すると周りの家族やメイド、執事たちがポカンと驚いた表情をする。
リリィは俺の言葉に笑いながら「アレスったら剣が欲しいなら鍛治場じゃなくて剣が欲しいでいいのよ?」と言う。いつもなら諦めてここで引いていただろう。だけどそろそろ武器を造りたかった俺は「いえ、剣ではなく鍛治場が欲しいのです。 鍛治場で自分だけの武器を造りたいのです。」とリリィに真っ直ぐな目を向けて言う。するとリリィが「武器を造りたいだなんて…鍛治には沢山の経験が必要なのよ? 職人達も沢山学んで沢山の年月を経てやっと武器造りをさせて貰えるの 好奇心だけでは造れないのよ」と言う。
鍛治の事は誰よりも知ってる、知ってるが確かに5歳の俺が造りたいと言うと言い返すされるのは分かりきっていた事だ。やはり諦めるしか…と少し悔しがりつつ思っていると、リドニアが「なぁ、アレス…本気で欲しいのか? 本気で造りたいのか?」と聞いてくる。俺は父様の目を真っ直ぐ見て「はい、造りたいです!自分だけの最高の武器を!」と少し大声気味になりつつ言うと、俺の大声に驚いたのか食卓に沈黙が走ったがリドニアが「そうか、なら作るか鍛治場」と笑顔で言う。
リリィが驚きつつリドニアに「貴方!何を?!」と言うとリドニアが「まぁ、いいじゃないか! 本気で造りたいって言ってるしなんかアレスなら造れそうな気がするんだよ」と言う。リリィは「はぁ」とため息をつき呆れる。そんなリリィに寄り添うアリスベート姉さん、そしてセルバ兄さんは俺に「おぉ!熱い!熱いぞ!アレス 俺はお前を見直したぞ!お前にそんな熱い心が眠っていたなんて!」と言いティリー兄さんはそんなセルバ兄さんの声のボリュームに呆れながら「うるさいですよ、セルバ兄さん」と言う。セレティア姉さんは家族のやり取りを見て微笑んでいる。
そして食事が終わり自室に戻る。
やっとだ!やっと武器造りに1歩すすんだぞ!
とはいえ鍛治場ができても素材がないんだよなぁ。
ただの鉄なら頼めば鍛治場と一緒にくれるだろうけど…俺はただの武器を作る気はないんだよなぁ。
魔物の素材が欲しい…よし、断られるのを覚悟で森に行っていいか聞いてみるか。




