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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第四話 生活を整える Scene1 水問題

朝。


悠は家の外に出ると、昨日作った畑を眺めた。


植えたばかりの種からは、まだ何も生えていない。


けれど、土はきれいに耕されている。


水路も問題なく使えそうだった。


「……よし」


悠は頷く。


これで食料については、ひとまず安心だ。


――と思ったところで。


「……水」


ふと気づいた。


昨日、畑に水をやるために使った水。


あれは川から持ってきたものだった。


「……」


悠は川の方を見る。


家から少し離れた場所にある川。


水は綺麗だ。


飲むこともできる。


問題は――。


「毎回、川まで行くのか……」


水を飲むたびに川へ行く。


料理をするたびに川へ行く。


畑に水をやるたびに川へ行く。


「……面倒だな」


悠はしばらく考えた。


そして。


「……井戸が欲しい」


そう呟いた。


思いついたら早かった。


家の近く。


畑からもそれほど遠くない場所を選ぶ。


「この辺でいいか」


悠は地面に手をかざした。


井戸を作るだけなら、土魔法でどうにかなる。


問題は水だ。


「……地下に水があるのか?」


少し考える。


だったら、探せばいい。


悠は魔力を地面へ流した。


地表。


その下の土。


さらに深い場所。


地中の様子が、頭の中に浮かび上がってくる。


「……あった」


地下深く。


大量の水が流れている場所がある。


「地下水脈……これか」


そこを目指して、土を動かしていく。


地面がゆっくりと沈んでいく。


土が押し退けられ、深い穴ができていく。


「もう少し……」


さらに深く。


そして――。


ぽた。


小さな水滴が落ちた。


「……水だ」


もう一度、魔法を使う。


穴の底から水が湧き出し始める。


少しずつ。


やがて、透明な水が静かに溜まっていく。


悠はその水を見つめた。


「……完成」


あとは崩れないように、周囲を石で固める。


石を加工して円形に並べる。


簡単な屋根も付ける。


最後に水を汲み上げるための桶を置く。


「……井戸っぽくなった」


悠は桶を下ろす。


水を汲み上げる。


ちゃぷ。


透明な水が桶いっぱいに入った。


悠は少しだけ水を飲んでみる。


「……」


冷たい。


そして、美味しい。


「……便利」


これなら、わざわざ川まで行く必要はない。


水を飲みたいときも。


料理をするときも。


畑に水をやるときも。


家のすぐそばで水が手に入る。


悠は完成した井戸を眺めた。


家。


畑。


井戸。


少しずつだが、自分の暮らしに必要なものが揃ってきている。


「……いい感じだな」


そう呟いて、悠は家へ戻った。


まだまだ足りないものはある。


けれど――。


一つずつ整えていけばいい。


そんな生活も、悪くなかった。

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