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第33話 役に立つということ Scene1 完成
水は、今度こそ水路から漏れることなく流れていった。
土で整えた水路を進み、そのまま畑へ向かっていく。
「よし!」
ハンスが声を上げた。
「これで畑も大丈夫だ!」
「よかったな!」
「間に合った!」
周りからも声が上がる。
村人たちは顔を見合わせ、笑っていた。
リアも水路を覗き込みながら、ほっとしたように息を吐く。
「ちゃんと流れてるね」
「……うん」
悠も水の流れを見ていた。
静かに流れていく水。
その先には、いつもの畑がある。
これで作物にも、ちゃんと水が届く。
「……」
悠は自分の手を見る。
今日は、特別な魔法を使っていない。
土を動かしたわけでもない。
石を作ったわけでもない。
ただ、土を運んだ。
何度も往復して、土を運んだだけだ。
それでも。
水路は直った。
村人たちは喜んでいる。
悠はもう一度、水の流れを見る。
「……これで、いいんだ」
誰に言うでもなく、小さく呟いた。
魔法を使わなくても。
自分にできることはある。
そのことが、少しだけ不思議だった。




