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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene3 失敗

ひと通り修理を終えると、ハンスが立ち上がった。


「よし。一度、水を流してみるか」


上流で止めていた水が、少しずつ流れ始める。


水路を水が進んでいく。


「……」


悠も、その流れを目で追った。


水は順調に進んでいた。


ところが。


「……あ」


途中で、水が少し横へ流れた。


修理した場所から、また水が漏れている。


「まだだな」


ハンスがしゃがみ込む。


「もう少し土を足すか」


村人たちも集まって、水路を確認する。


悠も、その場にしゃがんだ。


さっきより水は流れている。


けれど、どこかおかしい。


土の盛り方。


石の位置。


水の流れ。


「……」


悠はしばらく水路を見つめた。


魔法なら、全部まとめて直せる。


でも今は。


自分たちが直した場所を、もう一度見ている。


「……ここ」


悠が水路の一部を指差した。


「……少し低い」


ハンスが覗き込む。


「お、分かったか」


「……うん」


水がそこに集まり、外へ流れやすくなっている。


「じゃあ、ここに土を足してみるか」


「……うん」


悠は土を運んだ。


今度は自分から、水路の低い部分へ土を足していく。


ハンスが形を整える。


石を置き直す。


もう一度、水を流す。


水はゆっくりと水路を進んでいく。


今度は漏れない。


そのまま畑へ向かって、きれいに流れていった。


「よし」


ハンスが笑う。


「直ったな」


リアも嬉しそうに水路を見る。


「ちゃんと流れてる」


「……うん」


悠も水を眺めた。


魔法を使えば、もっと早かった。


それでも。


自分で土を運んで。


みんなと考えて。


直した水路を、もう一度水が流れていく。


その光景を見ていると。


「……悪くない」


悠は小さく呟いた。


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