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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第32話 みんなで直す Scene1 ハンスに止められる


悠が手をかざした、その時だった。


「待て」


ハンスの声が飛んできた。


「……?」


悠は手を下ろし、ハンスを見る。


ハンスは崩れた水路を指差した。


「こういうのは皆でやるもんだ」


「……でも」


悠は水路を見る。


漏れている水は、まだ止まっていない。


「早く直したほうがいいんじゃ?」


「そりゃそうだ」


ハンスはあっさり頷いた。


悠は少し意外そうにハンスを見る。


ハンスはそのまま、周りを見渡した。


土を運んでいる村人。


石を集めている村人。


上流で水を止めようとしている村人。


リアも、集めた石を抱えて戻ってきている。


「でもな」


ハンスが言った。


「村の水路だぞ」


悠は黙って聞いていた。


「みんなで直したほうがいい」


「……」


悠には、その意味がよく分からなかった。


早く直せるなら、そのほうがいい。


それが悠にとっては当たり前だった。


自分一人でできるなら、自分一人でやればいい。


今までずっと、そうしてきた。


けれどハンスは、そんな悠を責めるでもなく、ただ水路を見ている。


「ほら」


ハンスが土の山を指差した。


「悠も、あっち頼む」


「……土?」


「そうだ」


悠は土を見る。


魔法を使えば、一瞬で運べる。


でも。


今回は、それをしないらしい。


「……分かった」


悠は土の前まで歩いていった。


まだ少しだけ、意味は分からない。


それでも。


とりあえず、やってみることにした。


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