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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 リリ

パン屋を出た悠は、リアと一緒に村の道を歩いていた。


手には、ミーナからもらったパン。


家に持って帰って、あとで食べようと思っている。


そのときだった。


「悠ー!」


後ろから、元気な声が飛んできた。


「……?」


振り返る。


リリがこちらへ向かって走ってくる。


その後ろには、ノアもいた。


「きゅー!」


「……ノア」


ノアは嬉しそうに悠の足元まで駆けてくる。


リリは悠の前で立ち止まると、息を整える間もなく言った。


「遊ぼう!」


「……今?」


「今!」


即答だった。


悠はリリを見る。


それからノアを見る。


ノアはすでに遊ぶ気満々らしく、悠の足元をぐるぐる回っている。


「……」


正直に言えば、帰りたい。


今日はもう村に来た。


パンももらった。


用事も済んだ。


あとは家に帰って、静かに過ごしたい。


悠は断ろうと口を開く。


「……」


けれど。


目の前のリリは、期待した顔でこちらを見ている。


ノアも尻尾を振っている。


「……」


ほんの少しだけ、考える。


そして。


「……少しだけ」


「やった!」


リリが嬉しそうに跳ねる。


「ノアも行こう!」


「きゅー!」


ノアが元気よく鳴く。


悠は二人の後ろを歩きながら、小さく息を吐いた。


「……少しだけだから」


「うん!」


返事だけは、やけに元気だった。


悠はその様子を見ながら思う。


以前なら、迷わず断っていた。


けれど今は。


「少しだけなら」


そう言えるようになっていた。


それくらいなら――。


悪くないのかもしれない。


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