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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第29話 村の道具 Scene1 農具が欲しい

それからしばらく、悠はハンスと一緒に畑を耕していた。


ザクッ。


鍬を振り下ろす。


ザクッ。


また土を起こす。


少しずつ慣れてきたものの、どうにも手に馴染まない。


柄が少し長い。


持つ場所も微妙に合わない。


悠は何度か握り直した。


「……」


その様子を見ていたハンスが、鍬に目を向ける。


「その鍬、村で使ってるやつじゃねえな」


「……うん」


「どこで買った?」


悠は少し考えた。


「……自分で作った」


「自分で?」


ハンスが目を丸くする。


「……うん」


悠にとっては、それほど特別なことではなかった。


木を削って、金属を作って、形を整える。


魔法を使えば、それくらいは簡単にできる。


けれどハンスは、鍬をじっと見ている。


「そりゃ、使いづらいわけだ」


「……やっぱり?」


「ああ」


ハンスは鍬の柄を軽く叩いた。


「悪くはねえんだけどな」


「……」


「せっかくなら、ちゃんとしたやつを使ったほうがいい」


悠は鍬を見る。


「……どうすればいい?」


ハンスは村のほうを指差した。


「ドルフに頼んでみろ」


「……ドルフ?」


「鍛冶屋のドルフだ」


悠は少し考える。


あの無口な男。


必要なことしか話さない。


悠にとっては、かなり話しやすい人だった。


「……分かった」


「明日でも行ってみな」


「……うん」


悠は鍬を持ち直した。


自分で作った道具。


それを、自分以外の誰かに作ってもらう。


少し不思議な気がした。


けれど。


「……使いやすいほうがいいし」


そう呟いて、悠は再び畑を耕し始めた。


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