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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第28話 農業を教わる Scene1 ハンスの畑

翌日。


悠はリアと一緒に、村の畑へ来ていた。


昨日、ハンスに言われた通り、自分の畑を見せるつもりだった。


その前に。


「せっかくだから、俺の畑も見ていくか?」


そう言われて、ハンスの畑を案内してもらっていた。


「……」


悠は畑を眺める。


土がきれいに盛られ、いくつもの畝が並んでいる。


その間には、細い水路が通っていた。


作物も種類ごとに整然と植えられている。


「これがうちの畑だ」


ハンスが言う。


「……綺麗」


悠は思わず呟いた。


「そうか?」


「……うん」


悠の畑とは、少し違う。


悠の場合、土を魔法で耕せる。


水路も簡単に作れる。


種を植える場所だって、魔法で均等に整えられる。


水やりだって、必要な量だけ出せる。


けれど。


ハンスは、鍬を使って土を耕す。


一つ一つ畝を作る。


水路の状態を確認する。


作物の葉を眺める。


しゃがみ込んでは、土を指でつまんでいる。


「……何してるの?」


悠が尋ねる。


「土を見てる」


「……土?」


「ああ」


ハンスは手のひらの土を軽く揉む。


「乾きすぎてないか、とかな」


そして、隣の作物を見る。


「こっちは少し水が足りねえな」


水桶を持ち上げ、必要な場所へ少しずつ水を撒いていく。


悠は黙って見ていた。


さらに少し歩くと、ハンスが作物の間に手を入れた。


「これは抜く」


「……?」


「こいつは育ちが悪いからな」


ハンスは小さな苗を一本抜いた。


「間引きだ」


「……せっかく育ったのに?」


「全部残すと、逆に育たなくなる」


悠は畑を見る。


同じ土の上に、同じように植えられた作物。


それでも、一つ一つ状態が違う。


水の量も。


土の具合も。


葉の色も。


「……大変そう」


悠が言う。


ハンスは笑った。


「まあな」


「魔法を使えば、もっと簡単にできるけど」


「そりゃ、お前さんならできるだろうな」


ハンスは否定しなかった。


そのまま鍬を手に取る。


「でも、俺はこうやって育ててきた」


ザクッ。


鍬が土に入る。


「土を触って」


もう一度。


ザクッ。


「作物を見て」


そして、畝を整える。


悠はその様子をじっと見ていた。


自分なら、もっと簡単にできる。


もっと早くできる。


けれど。


ハンスは急いでいない。


一つ一つ確かめるように、畑を見ている。


悠は少しだけ、自分の畑を思い浮かべた。


「……」


同じ農業でも、やり方はずいぶん違うらしい。


そんなことを考えながら、悠はハンスの作業を眺めていた。


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