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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 悠の家


人が帰ったあと。


家の中は、いつもの静けさに戻っていた。


悠は部屋を見回す。


最初は、本当に何もなかった。


机と椅子。


ベッド。


必要なものを少し置いただけの、小さな家。


自分一人で暮らすための場所だった。


「……」


悠は部屋の隅を見る。


そこには、リアがよく座っている椅子がある。


いつの間にか、そこがリアの定位置になっていた。


窓の外へ目を向ける。


庭には、ノアの小さな小屋がある。


最初はそんなものを作る予定もなかった。


ノアが生まれて。


一緒に暮らすようになって。


気づけば、ノアのための場所まで増えていた。


棚を開ける。


食器が並んでいる。


以前より、少し数が多い。


一人で食べるなら必要のない、客用の食器だった。


その隣には、村からもらった塩や蜂蜜。


布やパンを置く場所もできている。


悠は一つずつ眺めていく。


「……」


どれも、最初から家にあったものではない。


リアが来るようになったから増えたもの。


ノアと暮らすようになったから増えたもの。


村の人たちと関わるようになって増えたもの。


気づかないうちに、この家にはいろいろなものが増えていた。


悠は椅子に座る。


いつも自分が座っている椅子。


向かいには、リアが座る椅子。


「……」


最初は、一人で暮らすために作った家だった。


誰かが来るなんて考えていなかった。


ましてや、誰かが何度も来るなんて。


悠はもう一度、部屋を見回す。


少しだけ狭くなった気がする。


でも――


嫌な感じはしなかった。


「……誰かが来る家、か」


悠は小さく呟いた。


森の中にある、小さな家。


いつの間にかそこは、悠一人だけの家ではなくなり始めていた。


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