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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第二十話 リリ Scene1 村の子供

 その日の午後。


 リアはいつものように、薬草を探すため森へ入っていた。


 悠は少し離れた場所で、畑に使う土を確認している。


 いつもと変わらない森の時間。


 ――のはずだった。


「リアお姉ちゃん!」


 森の奥から、元気な声が聞こえてきた。


「……?」


 リアが振り返る。


 木々の間から、小さな女の子が走ってきた。


「リリ?」


 リアが驚いたように声を上げる。


「えへへ」


 リリと呼ばれた少女は、嬉しそうに笑いながらリアのところまで駆け寄った。


「どうしたの? こんなところまで来て」


「リアお姉ちゃんについてきたの!」


「ついてきたって……」


 リアが困ったような顔をする。


「ちゃんとお家の人には言ってきた?」


「言ったよ!」


「ならいいけど……」


 リアは少し安心したように息を吐いた。


 そのやり取りを、悠は少し離れた場所から見ていた。


 知らない子だ。


 村の子供らしい。


 悠がそう考えていると、リリの視線がこちらへ向いた。


「……?」


 リリがじっと悠を見る。


 悠も黙って見返す。


 しばらくして、リリがリアの袖を引っ張った。


「この人だれ?」


「悠だよ」


 リアが答える。


「悠?」


「うん。森に住んでる人」


「へえ……」


 リリは興味深そうに悠を見る。


 悠は少しだけ緊張した。


 子供とはいえ、知らない人だ。


 何を話せばいいのか分からない。


「……」


 悠はとりあえず、小さく頭を下げた。


「……こんにちは」


「こんにちは!」


 リリも元気よく返した。


 悠は少し驚いた。


 そして、また黙った。


 リリはそんな悠を不思議そうに見つめている。


 リアはその様子を見て、少し笑った。


「悠、リリは村の子だよ」


「……うん」


「リリ、悠はちょっと無口だけど、怖い人じゃないからね」


「分かった!」


 リリは素直に頷いた。


 そして。


 また悠を見る。


「……」


 悠は少しだけ困った。


 どうやら。


 今日はいつもより、静かな森になりそうになかった。

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