47/121
Scene3 村長、ノアを見る
エドガーが帰ろうとした、そのときだった。
「きゅ?」
ノアが悠の足元から歩いていく。
そのままエドガーの足元まで近づいた。
エドガーが足を止める。
「おや?」
ノアはエドガーを見上げた。
「きゅー」
小さな鳴き声を上げる。
エドガーはしゃがみ込むこともなく、少しだけ目を細めてノアを見る。
「これは珍しい子を飼っているな」
「……拾った」
「そうか」
エドガーはそれだけ言った。
ノアはしばらくエドガーを見ていたが、すぐに悠のところへ戻ってくる。
「きゅ」
「……」
悠はノアを見る。
エドガーもその様子を眺めていた。
「元気そうで何よりだ」
「……うん」
それ以上、エドガーは何も聞かなかった。
ノアが何なのか。
どこから来たのか。
どうして悠が飼っているのか。
そんなことを深く尋ねることもない。
「では、今度こそ帰るとしよう」
「……はい」
エドガーはそう言って、森の道を歩いていった。
悠はその背中を見送る。
そして足元を見る。
「……ノア」
「きゅ?」
「……知らない人についていかないで」
「きゅー」
返事だけは元気だった。
悠は小さくため息をつく。
「……まあ、いいか」
ノアは悠の足元をぐるぐる回り始めた。
いつもの光景だった。




