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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 ミーナ再登場

Scene2 ミーナ再登場


 リアと一緒に村の道を歩いていると。


「あら?」


 聞き覚えのある声がした。


 悠が顔を上げる。


 道沿いの店の前に、一人の女性が立っていた。


 パンの入った籠を抱えている。


 香ばしい匂いが風に乗って流れてきた。


「あ、この前の子じゃない」


 ミーナだった。


 前に村の入口でパンをくれた、パン屋の女性だ。


 悠は少しだけ身構える。


 知らない人に話しかけられるのは、まだ少し苦手だった。


 でも。


 ミーナの顔は知っている。


 パンももらった。


 だから。


「……こんにちは」


 小さく挨拶をする。


 ミーナが目を丸くした。


「お」


 そして、にっと笑う。


「ちゃんと挨拶できたね」


「……」


 悠は黙った。


 少しだけ恥ずかしい。


 なんだか子ども扱いされたような気もする。


 でも、嫌な感じではなかった。


 隣でリアがくすりと笑う。


「ふふ」


「……何?」


「ううん」


 リアは笑ったまま首を振った。


「ちゃんと挨拶したなって」


「……」


 前にも似たようなことを言われた気がする。


 ありがとう。


 どういたしまして。


 こんにちは。


 それだけのことなのに。


 自分にとっては、少し難しい。


 ミーナはそんな悠の様子を見ながら言った。


「今日はリアと一緒かい?」


「うん。薬草を届けに来たの」


「そっかそっか」


 ミーナは頷く。


 そして、悠の持っている籠を見る。


「あれ? 悠、その野菜は?」


「……畑で採れた」


「へぇ」


 ミーナは少し驚いた顔をした。


「森で畑なんてやってるんだ」


「……少し」


 本当は、少しどころではない。


 かなり立派な畑になっている。


 けれど悠にとっては、生活のために作った普通の畑だった。


「今度見てみたいね」


「……」


 悠は少し困る。


 家に人が来る。


 それはまだ、少し落ち着かない。


 リアがそんな悠を見て、小さく笑った。


「悠、困ってる」


「……困ってない」


「そう?」


「……少し」


 ミーナが笑う。


「はは。まあ、そのうちだね」


 パンの焼ける匂いが漂う村の道で。


 悠は少しだけ肩の力を抜いた。


 知らない人は、まだ苦手だ。


 でも。


 ミーナは、もう少しだけ知っている人になっていた。

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