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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene3 昼食

なった。


畑仕事を終えた悠は、家の中へ戻った。


「……昼、食べる?」


「うん」


リアも後ろからついてくる。


悠は台所に立ち、簡単な昼食を作り始めた。


畑で採れた野菜を切る。


鍋に入れて、火をつける。


昨日の料理ほど手間はかけない。


野菜を煮て、少し味を整える。


それだけだった。


「いい匂い」


「……そう?」


「うん」


やがて料理ができあがる。


悠は二人分を皿に盛り、テーブルへ運んだ。


ノアの分も忘れずに用意する。


「いただきます」


「いただきます」


二人で食事を始める。


窓の外では、風に揺れた木々が葉を鳴らしている。


ノアは自分の皿に夢中だった。


「きゅ、きゅ」


「……ゆっくり食べて」


「きゅ!」


リアがその様子を見て笑う。


「ノアって、本当に食べるの好きだね」


「……いつもあんな感じ」


「ふふ」


しばらく、静かに食事を続ける。


会話はほとんどない。


けれど、不思議と気まずくはなかった。


やがてリアが箸を止め、部屋を見回した。


木の机。


椅子。


棚。


窓から入ってくる柔らかな光。


そして、壁の向こうから聞こえる森の音。


「ここで食べるご飯って、なんか落ち着くね」


悠は顔を上げた。


「……そう?」


「うん」


リアはそう言って、もう一度料理を口に運ぶ。


悠は何となく家の中を見た。


この家は、最初から自分一人で使うために作ったものだった。


誰かを招くつもりなんてなかった。


机も。


椅子も。


食器も。


全部、一人分あれば十分だった。


なのに今は。


その椅子にリアが座っている。


向かいには、自分がいる。


足元ではノアが食事をしている。


「……」


悠は少しだけ不思議な気持ちになった。


家の広さは、何も変わっていない。


家具も、昨日までと同じだ。


それなのに。


少しだけ、家が広くなったような気がした。


「悠?」


「……何でもない」


「そう?」


「……うん」


悠は再び昼食に目を落とした。


そして、静かに食事を続けた。

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