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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 一緒に畑仕事

「何か手伝う?」


リアが畑を見ながら言った。


悠は手にしていた道具を止める。


「……できる?」


「たぶん」


「……たぶん?」


悠が聞き返すと、リアは少し笑った。


「薬草を採るのは慣れてるけど、畑仕事はそんなにやったことないから」


「……そう」


悠は少し考えた。


別に、一人でやればすぐ終わる。


けれど。


「……じゃあ、雑草」


「雑草?」


「……これ、抜いて」


悠が畑の端を指差す。


小さな草がいくつも生えている。


「分かった」


リアはしゃがみ込み、さっそく草を抜き始めた。


「こう?」


「……うん」


「結構あるね」


「……多い」


二人で並んで雑草を抜いていく。


リアは薬草を採るときと同じような感覚で作業しているらしく、手つき自体は慣れていた。


ただ――。


「……あ」


リアの手元から、小さな野菜が一緒に抜けた。


「……」


「……」


二人で抜けてしまった野菜を見る。


「……これ、雑草じゃなかった?」


「……野菜」


「そっか」


リアは申し訳なさそうに野菜を持ったまま固まる。


「ごめん」


「……別に」


悠はその野菜を受け取る。


根元についた土を軽く払ってから、畑の土を掘った。


そして、空いた場所にもう一度植え直す。


「……こう」


「戻るの?」


「……たぶん」


「たぶん?」


「……たぶん」


リアが笑った。


「悠もたぶんって言うんだ」


「……」


悠は何も答えず、土を軽く押さえた。


野菜は、とりあえず元の場所に戻った。


「よかった」


リアが安心したように言う。


「……うん」


二人はまた作業に戻った。


しばらくすると、今度はリアが慎重に雑草を抜いている。


一本抜いて、確認。


もう一本抜いて、確認。


「……」


悠はそれを見ながら、少しだけ口元を緩めた。


その頃。


「きゅー!」


ノアが畑の周りを走り回っていた。


悠が顔を上げる。


「……ノア」


「きゅ!」


ノアは楽しそうに駆けている。


畑の中には入らず、周りをぐるぐる回っていた。


「……今日は入らないな」


「ちゃんと分かってるのかな?」


「……どうだろう」


ノアは二人の間を走り抜け、少し離れた場所でまた駆け回る。


「きゅー!」


「元気だね」


「……いつも」


リアは笑いながら、また雑草を抜いた。


悠も黙って作業を続ける。


一人でやっていた畑仕事に、もう一人分の手が加わる。


そして、その周りを小さなドラゴンが走っている。


特別なことは何もない。


ただの畑仕事だった。


けれど悠は、昨日までとは少し違う朝を過ごしていた。

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