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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第十六話 また明日 Scene1 翌日のリア

翌朝。


悠はいつものように畑にいた。


昨日より少しだけ伸びた野菜の様子を確認しながら、土を整えていく。


朝の森は静かだった。


鳥の声と、遠くから聞こえる川の音。


いつもと変わらない朝。


――だったのだが。


「おはよう、悠」


森の向こうから、聞き慣れた声がした。


悠が顔を上げる。


そこには、リアが立っていた。


手には小さな籠。


中には薬草が入っている。


「……おはよう」


悠が答えると、リアは笑った。


「昨日のお昼、ごちそうになったから」


そう言って、籠の中から薬草を取り出す。


「これ、薬師さんからもらったの」


「……そう」


悠は薬草を受け取った。


思ったより量がある。


「使えると思うから」


「……ありがとう」


「ううん。こっちこそ昨日ありがとう」


リアはそう言うと、そのまま悠の隣に立った。


そして、畑を見る。


「……ねえ」


「……なに?」


「畑、また大きくなってない?」


悠は畑を見る。


確かに、昨日より少しだけ広くなっている。


「……少し」


「やっぱり」


リアは畑の端まで歩いていく。


植えられている野菜を眺めながら、首を傾げた。


「何作ってるの?」


「野菜」


「見れば分かるよ」


「……」


悠は黙った。


リアも黙る。


しばらく二人で畑を見る。


「……じゃあ、何て答えればいいの?」


悠が小さく呟く。


「ふふっ」


リアが笑った。


「ごめん。ちょっと聞き方が悪かった」


「……うん」


「これは?」


リアが畑の一角を指差す。


「……豆」


「へえ」


次の場所を指差す。


「じゃあ、これは?」


「……小麦」


「これは?」


「……野菜」


「それはさっき聞いたよ」


「……」


悠はまた困った。


リアは楽しそうに笑っている。


昨日までなら、こういうやり取りも疲れていたかもしれない。


けれど。


今日は、そこまで嫌ではなかった。


「……見れば分かるのに」


「そうだね」


「……何で聞いたの?」


「悠が何を作ってるのか知りたかったから」


「……そう」


それ以上、悠は何も言わなかった。


リアも無理に話そうとはしなかった。


ただ二人で、朝の畑を眺める。


森を抜ける風が、野菜の葉を揺らしていた。


悠は手に持った薬草を見る。


昨日まで、一人だった場所。


そこに今は、リアがいる。


「……」


悠は少しだけ考えてから、畑の作業に戻った。


リアも、その隣にしゃがみ込んだ。


「何か手伝う?」


「……いいよ」


「そっか」


そう言いながらも、リアはその場を離れなかった。


悠は小さく息を吐く。


そして、土を整え始めた。


朝の静かな時間に、リアの声が一つ増えていた。

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