↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/121

Scene2 小屋を作る

を作る。


 そう考えると、少しだけ不思議な気分になった。


 前の世界では、自分のために家を建てるなんて考えたこともなかった。


 けれど今は。


「……自分で作るんだよな」


 悠は手を伸ばした。


 頭の中に、家の形を思い浮かべる。


 大きくなくていい。


 一人で暮らすのだから、必要な分だけあればいい。


 木でできた壁。


 しっかりした床。


 雨を防ぐ屋根。


 明かりを取り込む窓。


 出入りするための扉。


「……こんな感じで」


 創造魔法を発動する。


 ――瞬間。


 目の前の景色が変わった。


 木材が現れる。


 床ができる。


 壁が組み上がる。


 屋根が乗る。


 窓が取り付けられ、最後に扉が取り付けられた。


 それは、ほんの一瞬の出来事だった。


「…………」


 悠は完成した小屋を見つめる。


 小さな木造の家。


 決して立派ではない。


 けれど、ちゃんと家だった。


「……できた」


 自分でも驚くほど、あっさりとした言葉が出た。


 扉に手をかける。


 ギィ。


 木の音がして、扉が開く。


「お邪魔します……」


 言ってから、自分の家だったことに気づく。


「……違うか」


 誰もいないのだから、わざわざ挨拶する必要もない。


 中へ入る。


 部屋の中には何もなかった。


 家具もない。


 棚もない。


 机もない。


 ただ、木の床と壁と天井があるだけ。


 窓から森が見える。


 悠は部屋の中央に立った。


「…………」


 何もない。


 でも。


「……悪くない」


 不思議と、嫌な感じはしなかった。


 むしろ。


 これからここに、少しずつ物を増やしていけばいい。


 机を置いて。


 椅子を置いて。


 ベッドを作って。


 食器を揃えて。


 料理をして。


 そのうち、畑も作る。


 そうやって、自分の暮らしを作っていく。


「……」


 悠は窓の外を見る。


 森の中に、自分だけの小さな家が建っている。


 誰かに用意してもらった場所ではない。


 誰かの家を借りたわけでもない。


 自分で作った。


「……俺の家」


 小さく呟く。


 その言葉が、妙に胸に残った。


 悠は部屋の隅に座り込む。


 何もない。


 何も決まっていない。


 それでも。


 ここなら、自分の好きなようにできる。


 静かに暮らせる。


 誰にも急かされない。


 誰にも邪魔されない。


「……ここで暮らすか」


 悠は小屋の中を見回した。


 まだ何もない部屋。


 けれど、それは同時に――これから何でも置ける部屋でもあった。


 異世界での生活は、まだ始まったばかり。


 そして今日。


 悠は初めて、自分だけの「家」を手に入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。