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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene3 回復

悠は、リアの足を見た。


 少し腫れている。


 歩くのは難しそうだった。


「……」


 悠は少し考える。


 そして、手をかざした。


「……治すね」


「え?」


 リアが顔を上げる。


 悠は気にせず、魔力を流した。


 淡い光が、リアの足を包む。


 一瞬だった。


 痛みが消える。


 腫れもなくなっている。


 まるで、最初から怪我などしていなかったかのようだった。


「……え?」


 リアは自分の足を見る。


 何度か動かしてみる。


 足首を曲げる。


 伸ばす。


 立ち上がってみる。


「……痛くない」


「……痛くない?」


 悠が聞く。


「う、うん」


 リアは自分の足を見ながら答えた。


「全然……痛くない」


「……よかった」


 悠はそれだけ言った。


 そして立ち上がる。


「歩けそう?」


「うん」


 リアは一歩踏み出した。


 問題ない。


 二歩目。


 三歩目。


 やっぱり痛くない。


「……」


 リアはもう一度、自分の足を見る。


 さっきまで確かに痛かった。


 なのに。


 今は何ともない。


「悠……今のって」


「……回復魔法」


「回復魔法……?」


「……うん」


 悠にとっては、それだけだった。


 怪我をしていた。


 だから治した。


 ただ、それだけ。


 けれどリアにとっては違った。


 普通、回復魔法は誰でも簡単に使えるものではない。


 薬草師見習いの自分には、とてもできない。


 ましてや。


 あれほどの怪我を、一瞬で治すなんて。


「……」


 リアは悠を見る。


 悠は何でもないような顔で、地面に落ちていた籠を拾っていた。


「……はい」


「ありがとう」


 リアは籠を受け取る。


 悠はそのまま歩き出した。


「……帰る?」


「うん」


 リアも後をついていく。


 その背中を見ながら。


 リアは、少しだけ不思議な気持ちになった。


 悠は。


 いったい何者なんだろう。


 そんな疑問が、初めて浮かんだ。

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