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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 リアを家に入れる

悠は、扉の前に立ったままリアを見ていた。


 雨はまだ降り続いている。


 リアの髪からは、ぽたぽたと水が落ちていた。


 服も濡れている。


 このまま外にいたら、風邪をひくかもしれない。


「……」


 悠は困った。


 人を家に入れたことがない。


 というより。


 この世界に来てから、誰かを家に入れる必要なんてなかった。


 ここは自分だけの場所だった。


 本を読んだり。


 料理をしたり。


 寝たり。


 好きなように過ごす場所。


 そこへ、人が入る。


 考えただけで少し落ち着かなくなる。


「……」


 リアは何も言わず、扉の前で待っている。


 無理に入ろうとはしない。


 ただ、雨に濡れながら立っている。


 悠は外を見る。


 雨は弱まる気配がない。


 そして、リアを見る。


「……」


 少し迷う。


 でも。


 このまま帰れとは言えなかった。


 悠は小さく息を吐いた。


「……入る?」


 リアが目を丸くする。


「いいの?」


「……うん」


 悠は扉を少し大きく開けた。


 リアは一瞬だけ躊躇した。


 それから、小さく頭を下げる。


「ありがとう」


「……うん」


 リアが家の中へ入る。


 濡れた靴が床につく。


 悠はそれを見て、少しだけ気になった。


 けれど、何も言わなかった。


 リアは家の中を見回す。


 木で作られた壁。


 机と椅子。


 棚。


 そして、生活に必要なものがきちんと揃えられている。


「……綺麗」


「……そう?」


「うん」


 リアがそう言う。


 悠は少しだけ視線を逸らした。


 自分にとっては、いつもの家だ。


 でも。


 誰かに見られるのは初めてだった。


 なんとなく落ち着かない。


 それでも。


 さっきまで外で雨に打たれていたリアが、屋根の下にいる。


 それだけで、少し安心した。


 悠は扉を閉める。


 外では、まだ雨が降っている。


 けれど。


 家の中は静かだった。

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