Scene2 鑑定
森の中。
悠は黒い卵を両手で抱えながら、しばらく立っていた。
やはり気になる。
さっきは鑑定できなかった。
けれど――。
「……もう一回」
悠は卵に向かって、改めて鑑定を使った。
「鑑定」
すると。
今度は、わずかに表示が浮かび上がった。
【種族:???】
【状態:生命活動あり】
「……」
悠は画面をじっと見る。
「……生命活動あり」
ということは。
「……生きてる?」
黒い卵を見る。
返事はない。
当然だ。
卵なのだから。
それでも、完全に無機物というわけではないらしい。
悠はもう一度、鑑定する。
結果は変わらない。
【種族:???】
【状態:生命活動あり】
「……何の卵なんだ」
分からない。
少なくとも、普通の鳥や動物の卵ではなさそうだ。
種族すら表示されない。
「……まあ」
悠は卵を見つめる。
森の中に置きっぱなしにしておくのも、なんとなく気になる。
「……持って帰るか」
そう決めると、卵をしっかり抱え直す。
落とさないように気をつけながら、歩き始めた。
薬草の入った収納。
そして腕の中には、正体不明の黒い卵。
「……」
悠は歩きながら考える。
何が生まれるのだろう。
そもそも、生まれるのだろうか。
「……まあ、帰ってから考えよう」
森を抜ける。
木々の向こうに、自分の家が見えてきた。
悠は黒い卵を抱えたまま、家へ向かう。
こうして――。
悠の静かな異世界生活に、一つの謎が加わった。




