第62話 帰り道 Scene1 疲れた一日
夜。
川辺での時間を終えて。
悠たちは森へ向かって歩いていた。
昼間よりも、ずっと静かな帰り道だった。
子供たちは大人に連れられながら、眠そうに歩いている。
村人たちも、さっきまでの賑やかさが嘘のように静かだった。
悠も。
ゆっくりと歩いていた。
「……」
今日は長かった。
朝から川へ来て。
水に入って。
子供たちと遊んで。
昼ご飯を食べて。
夕方には肉を焼いて。
夜には星を見た。
それだけなのに。
身体はかなり疲れている。
悠は小さく息を吐いた。
「……疲れた」
隣を歩いていたリアが笑う。
「いっぱい遊んだからね」
「……うん」
悠は素直に頷いた。
ふと。
腕の中を見る。
そこにはノアがいた。
完全に眠っている。
「すぅ……」
身体を悠に預けたまま、ぴくりとも動かない。
川で遊んで。
肉を食べて。
星を見て。
一番自由に過ごしていたのは、たぶんこいつだ。
悠はノアを見ながら呟く。
「……こいつも疲れたみたい」
リアがノアを見る。
「ふふ」
小さく笑った。
悠も少しだけ口元を緩める。
夜の森は静かだった。
昼間の川の音は、もう遠い。
木々の間から見える空には。
まだいくつかの星が見えている。
悠はノアを抱え直す。
「……重い」
「寝てるからね」
「……起こすのも面倒」
「じゃあ、そのまま連れて帰ろう」
「……うん」
悠は歩き続けた。
疲れている。
けれど。
嫌な疲れではなかった。
今日一日のことを思い出しながら。
悠は静かな森の中を、家へ向かって歩いていった。




