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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 思い出

しばらく歩くと。


木々の向こうに、小さな家が見えてきた。


悠の家だった。


「……」


帰ってきた。


悠は歩きながら。


今日一日のことを思い返していた。


川。


冷たい水。


子供たちと遊んだこと。


ノアが岩から落ちたこと。


水玉瓜。


甘かった。


焼いた肉も食べた。


夕方には、フィオナも来た。


村の人たちと一緒に川辺にいて。


夜には星を見た。


「……」


いろいろあった。


特別な出来事があったわけではない。


ただ。


朝からずっと、みんなと同じ場所にいた。


悠は腕の中で眠っているノアを見る。


「すぅ……」


今日一日。


こいつもずっと騒いでいた。


最後には疲れて眠っている。


悠は小さく息を吐いた。


長い一日だった。


「……疲れた」


それは本当だった。


朝から外にいて。


人と一緒にいて。


子供たちとも遊んだ。


普段なら、それだけでかなり疲れる。


けれど。


悠は家を見ながら、今日一日のことをもう一度思い出した。


川の音。


子供たちの笑い声。


冷たい果物。


焼いた肉。


フィオナと並んで見た川。


そして。


夜空いっぱいの星。


「……」


悠は少しだけ考える。


今日一日は。


長かった。


疲れた。


それでも。


「……悪くなかった」


第41話のときと同じ言葉だった。


けれど。


あのときとは、少しだけ違う。


春祭りでは。


人が多くて疲れた。


それでも、来年も来ると決めた。


今日は。


疲れた。


けれど。


川で遊んだことも。


みんなと食べたことも。


星を見たことも。


もう一度やってもいいと思えた。


「……」


悠は小さく目を細める。


その言葉の中には。


以前より少しだけ。


「楽しかった」に近いものが混ざっていた。


それを、悠自身がはっきり言葉にすることはなかった。


ただ。


家の前まで来ると。


少しだけ足取りが軽くなった。


腕の中では。


「すぅ……」


ノアが眠っている。


悠は家の扉を開けた。


「……ただいま」


静かな家の中に。


小さな声が響いた。


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