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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第61話 夜の川 Scene1 夜になって


やがて。


太陽が山の向こうへ沈んでいった。


空が少しずつ暗くなっていく。


けれど。


村人たちは、まだ帰らなかった。


川辺に残った火を囲みながら。


今日のことを話している。


「今日はよく遊んだな」


「子供たちはまだ元気そうだけどね」


「さすがに、そろそろ眠いだろ」


そんな声が聞こえてくる。


昼間はあれだけ騒いでいた子供たちも。


今は眠そうにしていた。


「もう眠い……」


「まだ帰りたくない……」


そんな言葉を言いながら、母親のそばに寄っていく。


悠は少し離れた場所に座っていた。


隣では。


ノアが丸くなっている。


「すぅ……」


完全に眠っていた。


昼からずっと動き回って。


食べて。


川にも飛び込んで。


最後には肉まで食べた。


さすがに疲れたらしい。


「……」


悠はノアを見下ろす。


「食べすぎたな」


返事はない。


「すぅ……」


ただ寝息だけが返ってくる。


悠も少し眠かった。


今日は朝からずっと外にいた。


川に入って。


子供たちと遊んで。


食事をして。


フィオナとも少し一緒にいた。


さすがに疲れている。


「……」


悠は目を細める。


そろそろ帰ろうか。


そう思ったとき。


ふと。


何気なく空を見上げた。


「……」


星が見えた。


ひとつ。


ふたつ。


それだけではない。


暗くなった空いっぱいに、いくつもの星が浮かんでいる。


「……」


悠はしばらく動かなかった。


森の中にいると。


木々が空を隠している。


家の周りから見える空は、それほど広くない。


星も。


見えることはある。


けれど。


こんなに広くは見えない。


川辺には木々が少ない。


視界を遮るものがない。


だから。


空が広かった。


悠は少しだけ顔を上げる。


川の向こうまで続く暗い森。


その上に。


無数の星。


「……」


川の音が聞こえる。


さらさらと。


夜の川が流れている。


焚き火の音もする。


村人たちの話し声も、少し遠くに聞こえる。


隣では。


ノアが眠っている。


悠はもう一度、空を見る。


「……綺麗だな」


小さく呟いた。


誰に聞かせるでもなく。


ただ。


そう思っただけだった。


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