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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 何も話さない


二人は並んで川を見ていた。


少し離れたところでは、村人たちが話している。


火がぱちぱちと鳴る。


子供たちの笑い声も聞こえる。


けれど。


悠とフィオナが座っている場所は、少しだけ静かだった。


フィオナが川を眺めながら呟く。


「……暑いね」


「……暑い」


悠が答える。


それだけだった。


「……」


「……」


会話は続かない。


けれど。


二人とも、それを気にしない。


フィオナは持ってきた小さな水筒を取り出した。


蓋を開ける。


こく。


お茶を飲む。


「……」


悠も自分の飲み物を手に取る。


こく。


冷たい飲み物が喉を通る。


二人とも、また川を見る。


さらさらと。


水が流れている。


夕方の風が木々を揺らす。


葉が擦れる音がする。


「……」


いつもの時間だった。


森の中で会ったときと同じように。


何も話さない。


無理に話題を探さない。


ただ。


そこにいる。


それだけでいい。


けれど。


今日は少し違った。


すぐ近くには、村の人たちがいる。


笑い声も聞こえる。


肉の焼ける匂いもする。


子供たちが走り回っている。


それでも。


フィオナは帰らなかった。


「……」


悠も帰らない。


以前なら。


人が多ければ、もっと離れた場所へ行っていたかもしれない。


フィオナも同じだっただろう。


けれど。


今日は二人とも、その場にいる。


村人たちと一緒に騒ぐわけではない。


会話に混ざるわけでもない。


ただ。


少し離れた場所で。


同じ川を見ている。


「……」


悠は川面を見る。


フィオナも川面を見る。


夕方の光を受けて、水がゆっくりと流れている。


その隣に誰かがいても。


何も話さなくても。


疲れない。


悠は小さく息を吐いた。


「……」


フィオナも何も言わなかった。


二人はそのまま。


川の音を聞いていた。


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