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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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第60話 森の魔女、涼みに来る Scene1 フィオナ登場

夕方。


川辺には、まだ村人たちが残っていた。


火はぱちぱちと燃えている。


子供たちは昼間ほど騒がなくなり、川のそばで遊んでいる。


そんな中。


森の奥から、一人の人影が歩いてきた。


「……暑い」


フィオナだった。


いつものように、落ち着いた顔をしている。


ただ。


今日は少しだけ疲れているようにも見える。


川辺まで来ると。


フィオナは水の流れを眺めた。


「……」


それから、小さく呟く。


「……涼みに来た」


「……そう」


悠が答える。


いつの間にか、近くにいた。


フィオナが悠を見る。


「……いたんだ」


「……うん」


「……そう」


それだけ。


二人の会話は、それで終わった。


すると。


「あれ?」


リアがフィオナに気づいた。


「フィオナさん!」


フィオナが顔を向ける。


「……リア」


「来たんだね」


「……暑かったから」


「そっか」


リアが笑う。


周りの村人たちもフィオナに気づいた。


「ああ、フィオナじゃないか」


「久しぶり」


「元気だったか?」


フィオナは少しだけ会釈する。


「……うん」


特別な挨拶はない。


村人たちも、それ以上は気にしない。


いつものことのように、またバーベキューの話に戻っていく。


悠はその様子を見ていた。


森の魔女。


村人たちからそう呼ばれているフィオナ。


けれど。


こうして見ると。


ただの村人の一人みたいだった。


少し人から離れた場所を選んで。


木陰に座る。


川を眺める。


人の多い場所の中心には入らない。


それでも。


帰るわけではない。


「……」


悠はフィオナを見る。


フィオナも川を見ている。


その少し離れた場所に。


悠も座った。


「……」


「……」


二人とも、何も話さない。


川の音だけが聞こえる。


周りでは村人たちが話している。


けれど。


ここは少しだけ静かだった。


フィオナが小さく息を吐く。


「……やっぱり、ここは涼しい」


「……うん」


悠も川を見る。


「……涼しい」


二人はそのまま。


少し離れた場所で、川を眺めていた。


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