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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 みんなで食べる


夕方の川辺。


火を囲むようにして、村人たちが集まっていた。


焼き上がった肉が次々と配られていく。


「これ焼けたぞ!」


「こっちもいい感じ!」


「野菜も食べてね」


あちこちから声が聞こえる。


悠は少し離れた場所に座っていた。


火のそばは人が多い。


だから、少しだけ距離を取っている。


けれど。


今日は、一人ではなかった。


「悠、これ」


ハンスが焼いた肉を持ってきた。


「……ありがとう」


悠は自然に受け取る。


しばらくすると。


「飲み物いる?」


リアが声をかけてくる。


「……うん」


「はい」


渡された飲み物を受け取る。


「……ありがとう」


それだけ。


長い会話はない。


悠も無理に話そうとはしない。


周りでは、村人たちが話している。


「今日は暑かったな」


「川があって助かったよ」


「子供たちはまだ元気だぞ」


「ノアも元気すぎるけどね」


「きゅ!」


少し離れたところから、ノアの声が聞こえる。


悠はそちらを見る。


ノアは肉を食べながら、尻尾を振っていた。


「……」


また食べている。


悠は小さく息を吐く。


けれど。


今日は止めなかった。


肉を一口食べる。


焼きたての香ばしさが口に広がる。


川の音が聞こえる。


薪がぱちぱちと鳴る。


周りには村人たちがいる。


それなのに。


不思議と落ち着いていた。


春祭りのときは。


人の多さに圧倒されて、帰りたくなった。


今は。


少し離れた場所に座っていても。


誰も気にしない。


話したければ話す。


話さなくてもいい。


それでも。


肉を渡してくれる人がいる。


飲み物を持ってきてくれる人がいる。


悠はもう一度、手元の肉を見る。


「……」


そして。


小さく呟いた。


「……こういうのも、いいな」


誰かに聞かせるつもりのない言葉だった。


けれど。


リアが少し離れたところで笑った。


悠も何も言わず。


そのまま肉を食べた。


川辺の夜は。


ゆっくりと近づいていた。


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