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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 失敗

完成した料理を前にしていた。


見た目は悪くない。


香りも、それなりにいい。


「……」


スプーンを手に取る。


恐る恐る、一口。


「……」


もぐもぐ。


数秒後。


悠の動きが止まった。


「……まずい」


思わず、正直な感想が出た。


味が薄い。


というより、何かが足りない。


野菜の味も、魚の味も、うまくまとまっていない。


「……なんでだ?」


材料は問題ない。


火加減も大丈夫。


鑑定して、食べられることも確認した。


それなのに。


「……料理って難しいな」


悠は鍋を眺める。


せっかく作ったのだから、捨てるのももったいない。


「……もう少し調整するか」


まず、塩を少しだけ追加する。


混ぜる。


味を見る。


「……まだ違う」


今度は砂糖をほんの少し。


もう一度、味を見る。


「……うーん」


まだ何か足りない。


油を少し加える。


香辛料も少し。


「……」


一口。


「……さっきよりはマシ」


だが、まだ美味しいとは言えない。


「……もう一回」


塩をほんの少し。


火を弱める。


少し煮込む。


味を見る。


「……」


今度は――。


「……お」


さっきよりずっといい。


野菜の味が分かる。


魚の旨味もある。


塩気もちょうどいい。


「……これなら」


もう一口。


「……うん」


悠は頷いた。


何度か調味料を加えて。


何度か味見をして。


何度も微調整した。


最初は、ただ食べられればいいと思っていた。


けれど。


「……せっかくなら、美味しいほうがいいよな」


そう思うと、少しだけ楽しくなってきた。


そして――。


ようやく納得できる味になった。


悠は椅子に座り、改めて料理を口に運ぶ。


「……」


もぐ。


「……美味しい」


さっきまでの「まずい」が嘘のようだった。


悠はもう一口食べる。


今度は自然と、少しだけ笑っていた。


「……料理、意外と面白いな」


異世界に来て初めての料理は失敗した。


けれど。


失敗したからこそ、分かったこともある。


料理は、作って終わりじゃない。


少しずつ調整して。


自分の好きな味を探していく。


悠はそんなことを考えながら、完成した料理をゆっくり食べた。


「……次は、もっと上手く作れそうだ」

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