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異世界で最強になったので、世界の片隅でひっそり暮らします  作者: 南蛇井


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Scene2 川に入る


子供たちが川ではしゃぐ声を聞きながら。


悠は川のそばに立っていた。


透明な水が、足元を流れている。


少しだけ迷ってから。


靴を脱いだ。


そして。


そっと片足を水の中へ入れる。


「……」


冷たい。


森の中とはいえ、夏の暑さはかなり厳しい。


その暑さを、一瞬で忘れそうなくらいだった。


もう片方の足も入れる。


水が足首を包む。


「……気持ちいい」


悠が小さく呟く。


その横で、リアが笑った。


「でしょう?」


「……うん」


川の流れに足を浸しているだけなのに。


身体にこもっていた暑さが、少しずつ抜けていく。


悠はしばらく、そのまま水を眺めていた。


すると。


「きゅ……」


ノアが川のそばまでやってきた。


さっきまで元気よく走っていたのに。


今度は少し慎重だった。


川を覗き込む。


水面を見る。


そして。


前足を伸ばして。


ちょん。


水に触れる。


「きゅ……」


冷たかったらしい。


ノアは一度、足を引っ込めた。


「……」


悠は黙って見ている。


ノアはもう一度、水に触れる。


ちょん。


「きゅ……」


今度は少しだけ長く触れている。


どうやら大丈夫らしい。


悠がそう思った。


次の瞬間。


「きゅー!」


ノアが勢いよく飛び込んだ。


ばしゃん!


大きな水しぶきが上がる。


「……」


悠の顔と服に、水がかかった。


ぽた。


ぽた。


「……」


悠は動かない。


水滴が頬を伝って落ちていく。


川の中では。


「きゅー!」


ノアが楽しそうに水をかいていた。


「……ノア」


悠が呼ぶ。


「きゅ!」


ノアが振り返る。


まるで、


「どう? 楽しいよ!」


とでも言いたそうな顔だった。


「……」


悠は少しだけノアを見つめる。


そして。


ほんの少しだけ。


口元が緩んだ。


「……元気だな」


「きゅ!」


ノアは嬉しそうに、もう一度水を跳ねさせた。


今度は悠も避けなかった。


夏の川は。


思っていたより、悪くなかった。


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